【ネタバレ】物語シリーズに登場する忍野扇の正体は?
いつの間にか現れ、神出鬼没に事態をひっかきまわしていく忍野扇。あの羽川翼に非常手段(おっ〇い)を使わせるほどの強敵です。
明らかに阿良々木暦やその周囲に遠回しな害意をまき散らしているのに、なぜだか阿良々木暦本人だけはそれに無頓着。
さて、そんな強敵忍野扇の正体とは。
※当然ですがネタバレありです。
忍野扇はメメの姪でもくらやみでもない
彼女の正体を探るにおいてまず整理しないといけないのが、忍野扇は忍野メメの姪ではないこと。
そして、思わせぶりな演出で示唆されるくらやみもまた、忍野扇の正体ではありません。
しかし忍野扇が忍野メメを名乗ったり、くらやみとミスリードさせるような行動をとったことにはきちんとした理由があります。
忍野扇の正体は
忍野扇の正体は阿良々木暦の自己批判精神が生み出した「 正体不明 」の怪異です。
ポイントは阿良々木暦が生み出した点。そのため阿良々木暦が持っている情報はすべて忍野扇に筒抜けです。それで忍野扇は阿良々木が隠し持っていた札の場所を千石撫子に教え、唆して飲み込ますこともできたし、阿良々木が老倉育のお見舞いに向かったときには「 待ち合わせ 」という名の待ち伏せが可能でした。
阿良々木暦は自分自身である忍野扇に対し一切の隠し事はできないし、自力では彼女の言葉に疑問を持つこともできません。
忍野扇は阿良々木なのだから、「 私は何も知りませんよ。あなたが知っているだけです。阿良々木先輩 」と言うのも当然。逆にいえば忍野扇は阿良々木暦が知っていることしか知り得ません。
阿良々木暦が持つ自己批判精神
阿良々木暦は周囲の大切な人々が当事者となった多くの怪異事件を解決しつつも罪悪感を感じていました。彼自身、これまで起こった多くの事件からみんなを完璧に救えたとは考えていません。
忍野忍の哀れな姿。くらやみに追われ成仏せざるを得なかった八九寺真宵。答えてあげられなかった羽川翼と千石撫子の想い。左腕が怪異のままの神原駿河。本人にも家族にも秘密の、月火が怪異であること。
なんとなくなあなあにしてきたけど、阿良々木暦自身、心の底では「 これでよかったのだろうか 」と思っています。彼の強い責任感からくる自己批判精神です。
まず妹を縛って脱がしたりおっ〇いもんだり歯磨きしたり幼女とお風呂に入ることを自己批判しろと言いたいところですが。
その自分を罰したい気持ちが生み出したのが忍野扇、別名ダークこよみんなのです。
くらやみの存在で罰を意識した阿良々木暦
しかしいかに半分吸血鬼とはいえ、そうポンポンと怪異を生み出せるものではありません。忍野扇が生まれたのはさまざまな偶然が重なってのことでした。
まず自己批判精神が大きく芽吹いたのは、鬼物語でくらやみに出会ったこと。怪異としての本分を全うしなかったために、くらやみに追われるようにして成仏することとなった八九寺真宵。
しかし阿良々木暦自身も中途半端な吸血鬼として半分怪異でありながら許されている。彼の妹である阿良々木月火も怪異。なのにくらやみに罰せられることはない。
人々を完璧には救えず多くのキズを残してきたのに、八九寺真宵を救えなかったのに、との罪悪感から阿良々木暦は心の奥底で「 自分もくらやみに罰せられるべきではないか 」と考えるようになりました。
巡り巡ったレイニー・デヴィルの力
続いてポイントとなるのが、神原駿河が左手に宿した悪魔の左腕、猿の怪異レイニー・デヴィル。
レイニー・デヴィルはもともと、神原駿河の母 臥煙遠江の自分に厳しい性格が災いし不本意に生み出してしまった「 必要ではないけれど欲しいものを消し去る 」「 正体不明 」の怪異です。
その怪異の本分が「 正体不明 」であることに気づいた臥煙遠江は、その能力の条件の合う怪異「 願いの裏にある願いを叶える悪魔 」レイニーデヴィルとしての正体を与えることで退治。
化物語:するがモンキーで神原駿河に取りついた悪魔の左手、レイニー・デヴィルは元はといえば臥煙遠江が生み出した正体不明の怪異の一部だったのです。
ちなみに忍野扇の正体にもっとも早くに気づいたのは何でも知ってるお姉さんにして臥煙遠江の実妹である臥煙伊豆湖。これは彼女が姉である臥煙遠江が生前「 正体不明の怪異 」を生み出し、レイニー・デヴィルとしての正体を与えて退治したのを見聞きしていたから。
そして終物語:しのぶメイルでキスショット初の眷属にして初代怪異殺し 死屍累生死郎が鎧の姿で現れたとき、その場に居合わせた神原駿河が戦闘になります。作中で描かれた通り、神原駿河は鎧に触れてしまったがために吸血鬼のスキル エナジードレインを受けています。
このとき、レイニー・デヴィルの「 裏の願いを叶える 」力と元来の「 正体不明の怪異 」としての力が死屍累生死郎の中に流れ込みました。
しのぶメイルの結末として倒された死屍累生死郎は忍野忍に食べられます。忍野忍は気づかぬ間に「 正体不明の怪異 」を根源とする「 裏の願いを叶える怪異レイニー・デヴィル 」を取り込んだことになります。
忍野忍と阿良々木暦とはリンクされているため、巡り巡って阿良々木暦自身に元「 正体不明 」の怪異レイニー・デヴィルが宿ったことになります。
(ちなみに、忍野扇が人を迷わせる迷い牛の怪異能力で忍野メメと影縫余弦を直江津から遠ざけ行方不明にできたのも、数々の怪異の力を駆使していた死屍累生死郎の力を取り込んでいたため)
そして阿良々木暦のなかにあった正体不明の怪異は、阿良々木暦の心の深くにあった自己批判精神から「 くらやみに罰せられたい 」という願いをくみ取り、「 正体不明の怪異 」忍野扇として顕現。願いにのっとって阿良々木暦に敵対する行動を開始したわけです。
忍野扇が忍野姓を名乗ったのは、間接的ながら忍野忍も「 正体不明 」怪異の共同製作者であり、ゆかりがあったためと考察されています。阿良々木姓でもよかったのかもしれませんが、より正体不明感の強い忍野姓を名乗ったのでしょう。さすがに阿良々木を名乗ったらバレるかも出し。
忍野扇の言動の節々に忍野扇=阿良々木暦の伏線がはられています。
- 「 私は何も知りませんよ。あなたが知っているだけです。阿良々木先輩 」は忍野扇=阿良々木暦だから。
- 阿良々木が隠していたクチナワのお札の在り処を忍野扇が知っており、撫子をそそのかした。
- 忍野扇が阿良々木を終物語 そだちリドルで老倉育の事件に介入するよう仕向けたのも、阿良々木暦の深層心理に老倉育への罪悪感があったため。
- 忍野扇の言った「 鶴の恩返しのように、過剰と思われるくらいの恩を返す 」スタンスは阿良々木暦そのもの。
まとめ:物語シリーズに登場する忍野扇の正体は?
- 忍野扇の正体は忍野メメの姪でもくらやみでもない。
- その正体は阿良々木暦の自己批判精神が生み出した「 正体不明 」の怪異。
- くらやみの存在を知り偶然レイニー・デヴィルの力を取り込んだ阿良々木暦が生み出してしまった別名ダークこよみん。
そして終物語の終わりは、阿良々木暦と自分を罰したい阿良々木暦の心、その直接対決でしめくくられます。
にしてもあれだけ時系列を前後させてそれぞれの物語を描きながらこれだけのフラグを仕込んであるとは。さすが西尾維新先生。
終物語と続・終物語をもって一応の終わりをみた物語シリーズ。しかし物語としては描かれずとも、阿良々木暦をはじめ彼らの人生は進んでいくのでしょう。
その人生に幸あれと思うばかり。半数は人と呼んでいいか怪しいですけど。
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