【十二国記】国名・王・麒麟・主な登場人物まとめ
壮大な東洋風ファンタジーの傑作、十二国記シリーズ。
作中の説明はストーリーをうまく絡んでわかりやすいよう工夫されていますが、さすがに登場する国々と登場人物が多いためわけがわからなくなることも結構あります。
十二国の王と麒麟、主な登場人物、登場作品まとめ
そこで王と麒麟を中心に、十二国各国の特色 / 主な登場作品 / 登場人物をまとめました。
メインストーリーの主人公 陽子を擁する慶から反時計回りに巡ります。
なお、十二国記は作品によって時系列が前後します。国ごとの特色や王の在位期間など解説は主に陽子が主人公となった月の影 影の海、風の万里 黎明の空、黄昏の岸 暁の天辺りでのお話。
また内容には若干のネタバレも含みます。月の影 影の海~黄昏の岸 暁の天、魔性の子をお読みになっていない方でネタバレ嫌いな方は回れ右が無難。
慶東国
国名は慶(けい)。国氏は景で王名は景王、麒麟は景麒もしくは景麟(景宰輔 / 景台輔)。
大陸の東側に位置し、慶東国とも呼ばれています。北は延国、南は巧国と隣接。首都は瑛州の堯天。王宮は金波宮。
現在の王は胎果の中嶋陽子。字は赤子。年号の赤楽は陽子の字と楽俊から一字ずつとられています。
景麒にとっては陽子が二人目の王。
前王は舒覚。気弱で政治の才覚のない女王で、景麒に惚れてしまい国中の女を追放するなんて無茶苦茶を断行、景麒が失道したことから禅譲。
陽子登極のおりには舒覚の妹、舒栄が偽王として立っていましたが、延王の援助を得た陽子によって討伐されています。
メインストーリーの主人公である陽子が属する国のため、十二国記においてもっとも登場機会が多い国です。
陽子の時代において王朝が長続きせず国乱が続いており、十二国の中でも貧しい国のひとつ。
半分は景麒が不器用なせいですが、舒覚も含め特に女王には恵まれないとされるお国柄。新たに登極した陽子は女王なうえに蓬莱で育ったため十二国世界常識に暗く、特に諸官から不安視・軽視されています。
陽子が女王らしい格好よりも簡素で動きやすい男っぽい恰好を好むのは十二国世界に連れて来られた当初や蓬莱での経験からくるところもありますが、女王が軽視されることから「 女王 」扱いされることを嫌っていることも一因。
宝重は怪我や病気を癒す碧双珠と水禺刀。碧双珠は景王以外でも使用可能ですが、水禺刀は持ち主である景王以外では鞘から抜くこともできず、抜いた状態で持たせてもらってもなにひとつ斬ることはできません。
主な登場作品
- 月の影 影の海
- 風の万里 黎明の空
- 黄昏の岸 暁の天
- 丕諸の鳥(短編集 丕諸の鳥収録)
主な登場人物
- 陽子:十二国記メインストーリーの主人公の一人。蓬莱での名前は中嶋陽子。
- 景麒:他人の気持ちを慮ることができず、言葉足らずな少々不器用な性格の麒麟。
- 舒覚:前王。はじめはただの無能な女王だったのが、景麒に惚れたがために暴政をしいてしまう。
- 舒栄:舒覚の妹。塙王の思惑にのって偽王として立ち、慶に混乱をもたらせた。
- 遠甫:王宮から家出した陽子に十二国世界の基本や政治のことを教えた人物。元は著名な松塾
- 丕緒:短編 丕緒の鳥の主人公。
雁州国
国名は雁(えん)。国氏は延で王名は延王、麒麟は延麒もしくは延麟(延宰輔 / 延台輔)。
内陸の北東側で、西に柳 / 南は慶国と国境を接した位置。延州国とも呼ばれています。
首都は靖州の関弓、王宮は玄英宮。
陽子登極時で延王 尚隆により500年続く長期王朝で、非常に栄えている一国。この時点では500年は十二国のなかでも奏につぐ2番目の長さです。
国王は尚隆、延麒六太(字は馬鹿)で二人とも胎果。
本編中延王尚隆と延麒六太が主人公のなる巻もあり、メインストーリーにもガッツリ絡むため出番は多め。
主な登場作品
- 東の海神 西の滄海
- 風の万里 黎明の空
- 書簡(短編集 華胥の幽夢収録)
主な登場人物
- 延王:治世500年を超える胎果の王。蓬莱自体の名は小松三郎尚隆で、十二国では尚隆(しょうりゅう)を名乗る。
- 延麒:胎果の麒麟で蓬莱にいたことの名は六太。主人の尚隆から承った字は馬鹿。
- 更夜:妖魔に育てられた人間。延王、延麒とただならぬ因縁がある。
戴極国
国名は戴(たい)。国氏は泰で王名は泰王、麒麟は泰麒もしくは泰麟(泰宰輔 / 泰台輔)。
虚海上にポツンと浮かぶ最北東の国で、戴極国とも呼ばれています。延国とお向かいさん。
首都は瑞州の鴻基、王宮は白圭宮。
メインストーリー主人公の一人である泰麒の生国で出番多し。
陽子の時代においては泰麒が選んだ乍 驍宗が王。先王である驕王時代の禁軍将軍。
驕王自身は文治の王として政治においては有能だったが金遣いが荒く、贅を尽くし泰の財政を傾かせた暗君。国庫に借用書だけ残っていたというほど。
玉を生み出す玉泉が豊富にあり玉が特産物。十二国世界でも北東に位置し、作物が実りにくい極寒の戴国にとっては玉の産出が一大産業。
過去の王が失道によって麒麟が死んだことに逆上、蓬山の女仙を皆殺しにして次の麒麟が生まれないよう捨身木を焼き払いにする大罪を犯しており、国氏が一度変わっています。
国氏が変わった例として原作中で明らかにされているのはこの戴の件と遵帝による「 覿面の罪 」のみ。
主な登場作品
- 月の影 影の海
- 風の万里 黎明の空
- 黄昏の岸 暁の天
- 丕諸の鳥(短編集 丕諸の鳥収録)
- 白銀の墟 玄の月
主な登場人物
- 泰王:名は乍 驍宗。十二国世界でも名の通った武人で、先王時代は禁軍名将軍。
- 泰麒:胎果の麒麟。世にも珍しい黒い鬣の黒麒。本名は高里要。驍宗により与えられた字は蒿里。
- 李斎:承州師将軍の女性武人。驍宗と同じタイミングで昇山し、泰麒に慕われている。
- 丈阿選:驍宗に匹敵する武勇を持つ禁軍将軍で、黄昏の岸 暁の天における謀反の首謀者。
なお、戴国関連の登場人物については下記記事でも網羅し解説しています。併せてどうぞ。
柳北国
国名は柳(りゅう)。国氏は劉で王名は劉王、麒麟は劉麒もしくは劉麟(劉宰輔 / 劉台輔)。
首都は朔州の芝草、王宮は芬華宮。王が劉氏とかどこぞの三国志みたいな。
大陸の12時方向、真北側に位置し柳北国と呼ばれます。
陽子の登極次点で在位120年のベテラン国。王である助露峰の方針により特に法を重んじる法治国家。
おかげでほかの国々と比べ圧倒的に犯罪が少なく治安はいいのですが、しかし雁王からは国が傾いていると目され楽俊が実態調査のため送り込まれるほど。
実際地方官吏が公然と贈賄を要求するなど汚職がはびこっており、法を持って国をなす柳国の根幹が揺れてはじめています。
しかし柳国内でも妖魔が増えるなど泰から流れてきているとされ、官民ともに強いて気づかないように振る舞っている節があります。
なお、手段と目的を取り違えたために失敗しましたが、芳が法をどんどん重くしていったのも柳を参考にしたがため。
北に位置するため農作には向きませんが、良質な木材や石材が特産品。ほか鉱山や玉泉も。
豊富な石材を活かし、地下室を造る家が多く、建物にかける税金を地下室の広さでとるほど。一部はつながって地下街となっています。北方の冷たい空気と雨風、雪をしのげるため地上ではなく地下の方が賑やか。
主な登場作品
- 風の万里 黎明の空
- 落照の獄(短編集 丕緒の鳥収録)
主な登場人物
- 瑛庚:狩獺の事件を裁くことになった秋官司刑(裁判官のような存在)。
- 狩獺:本名は何趣。多くの命を奪った殺人鬼で、柳の法治国家としての根幹を揺るがせた犯罪者。
恭州国
国名は恭(きょう)。国氏は供で王名は供王。麒麟は供麒もしくは供麟(供宰輔 / 供台輔)。
大陸北西側に位置する国で、芳とはお向かいさん。北の柳と西の範に隣接。恭州国とも。
現在の恭王は女王の珠晶。
国一番の商家のお嬢様として大事に育てられながらも自分にも他人にも厳しい性格。少々厄介なことに頭脳明晰で子どもながらに行動力もある。口より先に手が出がちな性格でもあります。
陽子登極時点で在位90年程度の中堅王様。首都は緯州の連檣(れんしょう)、王宮は霜楓宮。ちなみに現恭王である珠晶も連檣出身。
私が一番仕えたい女王がおわす国。
主な登場作品
- 図南の翼
- 風の万里 黎明の空
主な登場人物
- 珠晶:自他ともに厳しい性格で、頭脳明晰で行動力も抜群。そしてかわいい。
- 供麒:背が高くがっしりした体格のいい麒麟。どこか朴訥としたのんびり屋さん。
芳極国
国名は芳(ほう)。国氏は峯で王名は峯王、麒麟は峯麒もしくは峯麟(峯宰輔 / 峯台輔)。
先の王は約30年間治世した健仲韃(けんちゅうたつ)。しかし多くの民が死刑となったあまりにも厳しすぎる法のために峯麟もろとも弑逆され、王も麒麟も不在中。
主な登場作品
- 風の万里 黎明の空
- 乗月(短編集 華胥の幽夢収録)
主な登場人物
- 祥瓊:もとは芳国の公主。国を追放され、いろいろあって慶の陽子のもとで落ち着いた。
- 月渓:死にゆく多くの芳国民を憂い、弑逆を決意した国士。
範西国
国名は範(はん)。国氏は氾で王名は氾王、麒麟は氾麒(氾宰輔 / 氾台輔)。
大陸8か国のうち西に位置する国で、恭と才に隣接。現在の氾王 呉藍滌の治世は300年ほどと在位年数はかなり長め。
呉藍滌は男王でありながら女性もののアクセサリーや服を着る女装家。オシャレさんが高じまくった結果のため、他人の服装や宮の趣味がよくないとよく口に出します。
オシャレでない空間にいることは耐えられないらしく、他国の王宮であろうとも滞在中は遠慮なく改造しまくるこだわりっぷり。
服装に気を遣わない延王、延麒はある意味天敵で猿呼ばわりしています。逆に泰王 驍宗と泰麒 蒿里のことは気に入ってるそう。
麒麟は女性で氾麟。字は梨雪。しかし字は呉藍滌が気分で字を変えるため一定しません。
宝重は蠱蛻衫。薄い紗のような衣で、纏うとほかの人からは姿が変わって見える。見る人にとって好ましいと思う姿で見えるため、人それぞれ違った姿に見える点が特徴。延麒 六太なみにおてんばな氾麟が外へ出かけるときに重宝している模様。
国としては特別な産出品もなかったところを、呉藍滌の代になってモノづくりに力を入れ、輸出される芸術品などが特産品。
玉などの材料は他国から仕入れることもあり、他国の情勢には人一倍気を遣っています。荒れる前は戴からも玉を仕入れており、泰麒の捜索に協力的な一因になっています。
主な登場作品
- 黄昏の岸 暁の天
※範については作中ほぼ言及のみで特に登場はせず。
主な登場人物
- 氾王:名は呉藍滌。オシャレが大好きな女装家。
- 氾麟:麟版の延麒、つまり女版の六太ってほどおてんばな氾麟。字は梨雪。
才州国
国名は才(さい)。国氏は采で王名は采王、麒麟は采麒(采宰輔 / 采台輔)。
範と奏に隣接。漣とは海を挟んでお向かいの位置。首都は節州の揖寧、王宮は長閑宮。
陽子登極当時で采王は女王の黄姑、麒麟は采麟 揺籃。在位は約10年程度とかなり短め。
宝重は持って眠ると理想の国の姿を夢見せてくれる華胥華朶。しかしそれは、実際には本人の願望の姿。
主な登場作品
- 風の万里 黎明の空
- 華胥(短編集 華胥の幽夢収録)
主な登場人物
- 采王:名は黄姑。先代の采王である梧王砥尚の叔母で育ての親。
- 梧王砥尚:先代采王。采麟 揺籃にとってのはじめての王。革新的な政策で理想の国を目指したが、実力不足に采麟が失道し、禅譲。
- 采麟:可憐な麒麟。字は揺籃。
- 大木鈴:明治時代に十二国へと流された海客で、才の女仙。のちに景王 陽子と出会う。
漣極国
国名は漣(れん)。国氏は廉で王名は廉王、麒麟は廉麒もしくは廉麟(廉宰輔 / 廉台輔)。
ほかの国とは虚海を隔てて南西に位置する国。才とお向かい。
首都は重嶺、王宮は雨潦宮。現在の廉王は 鴨 世卓、麒麟は廉麟。
冬でも戴の春や秋の程度の気候で二毛作が行なわれるほど温暖で、住みやすい国です。
蝕を起こさずに蓬莱へ渡れる宝重 呉剛環蛇があるため、麒麟の卵果が流されたりすると廉麟の出番。
実際に胎果となった泰麒を連れ戻す際にも呉剛環蛇が使われています。
主な登場作品
- 冬栄(短編集 華胥の幽夢収録)
主な登場人物
- 廉王:名は鴨 世卓。王でありながら王宮内で農園を営んでおり「 自分の仕事は農夫で、王は役目 」と言いきる。
- 廉麟:蓬莱へ渡る呉剛環蛇を使うため出番の多いキレイなお姉さん麒麟。
奏南国
国名は奏(そう)。国氏は宗で王名は宗王、麒麟は宗麒(宗宰輔 / 宗台輔)。
大陸8ヵ国のうち最南端に位置する国で、首都は隆洽、王宮は清漢宮。
宗王は櫨先新、麒麟は宗麟・昭彰。陽子の景王時代で奏の治世は600年を超え、あと80年ほどで十二国世界史上最長となる長期王朝。国政も安定し、国民の暮らしも豊か。
櫨先新はもとは宿屋の主人で、登極後も宿屋時代と同じくなにかを決めるときは家族全員で決める合議制をとっています。王は櫨先新ですが、実質は櫨一家全員をまとめて王。そのためか、雁に比べると官全体がのんびりした風潮(櫨先新談)らしい。
そういった運営の便宜上、家族全員がほかの家族の筆跡をそのまんま真似して書ける特技を持っています。お互い偽造し放題。
奏国のあちこちに荒民・浮民を救済するための施設 保翠院を設置し、どこかの国が傾きはじめると近隣国の負担を軽減するための支援策を用意するなど、自国のみならず十二国世界全体への福祉貢献度が高いお国柄。
十二国初の入院制度をはじめた医療大国でもあります。
主な登場作品
- 図南の翼
主な登場人物
- 利広:世界を旅してまわる青年。その正体は……
- 宗王:名は櫨先新。600年にもわたり在位する王で、もとは宿屋。
- 宗麟:字は昭彰
巧州国
国名は巧(こう)。国氏は塙で、王名は塙王。麒麟は塙麒もしくは塙麟(塙宰輔 / 塙台輔)。
大陸の南東側に位置する国。お向かいは舜。慶、奏と隣接。巧州国とも呼ばれます。
首都は喜州の傲霜、王宮は翠篁宮。作中に登場する巧王は治世50年程度。
巧王は自身の治世に自信がなく劣等感を抱いており、在位500年を超す延王と同じ胎果の陽子が隣国慶の景王として立つと比較されてしまうのではないか、という身勝手な理由から陽子の暗殺をしかける暴挙に出ています。
しかし度重なる陽子への襲撃のうち塙麟が失道し死去。塙王自身も崩御し、諡を錯王とされました。
なお、塙麟の死後、蓬山にすぐに塙果がなっていますが、通常1年程度で生まれるはずの麒麟が塙麟の死から3年後にあたる黄昏の岸 暁の天にいたってもまだ生まれておらず、巧の荒廃が収まる見込みはなし。
原因は不明ながら、他国の王を殺そうとした暴挙に対しなんらかのペナルティが働いているのかも。
あとから重いペナルティを課すくらいなら失道による崩御をもっと早くしてくれた方がよさそうなものでしたが……
主な登場作品
- 月の影 影の海
主な登場人物
- 塙王:海客や半獣を差別する政策を推進し、陽子抹殺命令により失道し崩御。死後、諡を錯王とされた。
- 塙麟:塙王に陽子を殺すよう命じられ実行しているうちに失道。
- 楽俊:ねずみの半獣で陽子の大親友。半獣差別の激しい巧を出て雁の大学で勉学に励んでいる。特に法律に明るい。
舜極国
国名は舜(しゅん)。国氏は徇で王名は徇王、麒麟は徇麒(徇宰輔 / 徇台輔)。
舜国は原作ではほぼ言及されず。各国が協力して泰麒を探したいと打診した際、舜は内乱のため参加できず、とされたのがほぼ唯一の言及。
原作では舜の名のみで王氏も出てきていませんでしたが、アニメ十二国記 第21話「 風の海 迷宮の岸 転章 」において十二国の王と麒麟が紹介される際、はじめて徇王 / 徇麒と記載されました。
アニメでは原作で出てこない設定などについてはすべて作者の小野不由美さんに確認して制作されており、これも小野不由美さんによる公式設定と考えていいでしょう。
なお、このときのシルエットで徇王は女王とわかります。新潮文庫版の完全版「 華胥の幽夢 」のあとがきでも徇王は女王と記載されています。
主な登場作品
なし。
主な登場人物
なし。
その他
十二国記で描かれる世界はそのほとんどが十二国のいずれかに属していますが、一部どの国属していない場所もあります。
以下は十二国のうちどの国にも属さない場所の解説。
黄海
内陸側の8か国に囲まれた内海に位置する島。取り囲む東西南北の海をそれぞれ黒海、青海、赤海、白海と言います。
記述上は黄海ながら実際には海ではなく、砂漠や樹海でなる荒涼とした地域で、十二国のどの国にも属さない天の領域。
天の領域といっても実体としては妖魔が跋扈する過酷な世界で、とても人が住めるような環境ではなく、里のひとつもありません(とされている)。
黄海で妖魔を捕まえ慣らして騎獣として売ることで生計を立てる朱氏や麒麟に会うため蓬山へ参る昇山者を案内する黄氏ら十二国に属さない朱黄ら「 黄海の民 」にとってはある意味故郷。
中央に麒麟がなる捨身木を擁する蓬山があり、麒麟が育つまで過ごす場として造られた多くの宮が存在します。侵入者による狼藉から麒麟を守るため蓬山の宮々は岩による天然の迷路を活かして造られています。
また麒麟に認められたと場合、蓬山で儀式を受けて登極し、そのまま雲海のうえから玄武に乗って自国首都の凌雲山にある宮に入ることに。
最奥には天帝ら神々の領域も存在する模様。
黄海へのアクセス
黄海の周辺を囲うように大きく山々が取り囲んでおり、天の摂理かこれを超えることは不可能。
四州国と向かい合う位置に4つの門がありこれが年に一度安闔日と呼ばれる日だけ丸一日開くので、そのタイミングでしか出入りは不可能。安闔日はそれぞれ春分、夏至、秋分、冬至の日。以下十二国と黄海四門。
- 令乾門:恭の対岸に位置。春分が安闔日。
- 令巽門:巧の対岸に位置。秋分が安闔日。
- 令坤門:才の対岸に位置。夏至が安闔日。
- 令艮門:雁の対岸に位置。冬至が安闔日。
24時間は開きっぱなしになるので黄海日帰り弾丸ツアーも可能ですが、万一取り残されると過酷な黄海で1年後の安闔日を待つか、隣の門まで移動する必要があります。それも開くのは3か月後ですが。
なお、裏口として雲海の上を通るルートもあります。
しかし凌雲山に自由に出入りできる王族や麒麟でもないとまず使えないルート。考えてみれば国内にある各州の州城も凌雲山なので、もしかしたらそれなりに地位の高い官吏なら行けるのかも。どこいくのって話だけど。
蓬莱
現実世界における日本。十二国世界では虚海の果てにあるとされる伝説の地。倭国があるとされる。異世界・異次元のため通常は行き来ができません。
しかし十二国世界における災害、蝕が起こると一時的に十二国世界と蓬莱が交わり、向こうから人が流されてくることも。
こうして蓬莱(日本)から流されてきた人々は海客と呼ばれ認知されており、伝説といっても実存するものとして知られています。
ただその実態はかなり伝説的で、神仙の国で人は金銀玉で造られた家に住んで空と飛び、誰もが王侯のように暮らしてるなどと言われています。確かに飛行機で空を飛んだりはしてるけど、さすがに十二国世界の王のような暮らしができる人はそうそういない。
海客の扱いは国それぞれ、最終的には王次第で、保護する国もあれば冷遇する国も。
虚海の果てといいつつも十二国世界の東に位置するらしく、蓬莱から流されてくる海客のほとんどは慶、巧、雁の海岸に流れ着きます。
残念ながら言葉が通じないため大抵の人は苦労することになります。
なお、麒麟は自身の意志で蝕を起こして蓬莱と行き来することができ、本人だけが通る分にはさほど大きな被害はでません。
麒麟以外の人物が渡れる蝕となると規模が大きくなり、十二国世界も蓬莱(おそらく日本海側)も暴風と水害によってそれなりに大きな被害が出ることに。仁なる性質の麒麟としてはなるべく蝕を起こしたくないため、よほどのことがなければ蓬莱には渡りません。
どうしても蝕を起こす場合は可能な限り陸地から離れた場所で起こし、被害を抑えています。また、王だけが渡る分にはまだ被害が小さくて済みます。それでも蓬莱では新聞に載る程の災害にはなるようですが。
なお、呆れたことによく蓬莱に遊びに出かけてる麒麟がいるらしい。どこの馬鹿だまったく。
主には月の影 影の海、風の万里 黎明の空、魔性の子で登場。
崑崙
現実世界における中国のことを指す模様。漢の国があるとされる。虚海の果てにあるとされている蓬莱に対し、崑崙は十二国世界の裏側とされています。
ちなみに十二国世界の文化は古代中国の影響を強く思わせ、使われる文字も漢字。なので漢文がわかるようなら日本人でも筆談は可能ですが、言葉は中国語とも違うらしく、山客でも言葉は通じない模様。
作中ではその名が少し触れられる程度で特に登場なし。
虚海
どこまでも果てなく続く海。十二国世界の地球は丸くないようで。そもそも十二国世界は地球ではないですし。
相当に深く、それでいてどこまでも澄んでいるため海のなかがよく見える海。特に夜には黒に近い紺色で、深いところに明滅する小さな光があり、まるで宇宙のように見えます。
- この明滅する光は深海に棲まう妖魚が放つもの。嵐でもなければ浮かび上がってくることはありませんが、艀を飲み込むほど巨大な魚です。小さく見えるのはかなり深い場所にいるため。
戴と大陸との間にある海峡を艮海、芳と大陸の間を乾海と呼ぶなど、海峡ごとにも名前がついています。が、海峡といってもかなり広く、ひとくくりに虚海と呼ばれることがほとんど。作中でもほぼ呼ばれません。
もうひとつ、虚海には異世界である蓬莱、崑崙との境界線としての役割があり、王、麒麟、一定以上の位を持つ仙人であれば蓬莱や崑崙へ渡ることもできます。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません
日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください(スパム対策)。