【十二国記】黄昏の岸 暁の天で戴の偽王に対する反乱が成功しなかった理由

【十二国記】黄昏の岸 暁の天で戴の偽王に対する反乱が成功しなかった理由

急転直下、泰麒であり超絶人気を誇るみんなのアイドル 蒿里を悲劇が襲い、多くのファンをハラハラさせた十二国記 黄昏の岸 暁の天

作中最大の謎である戴国、ひいては泰王 驍宗に反旗を翻し、泰麒に刃も向けた犯人……が誰かは黄昏の岸 暁の天本編中に明かされますよね。

今回はちょっと地味な謎、戴の偽王が偽王と判明したのち、民や各州侯による戴国内での偽王への対抗がなぜことごどく失敗したか、に迫ります。

なお、本ページをご覧になるということは、少なくとも偽王への反乱がことごどく潰えたことが明らかになるところまでは黄昏の岸 暁の天をお読みになっていることと思います。

であれば問題ないのですが、そこまでまだお読みになっていない方にはネタバレとなる内容があります。ご注意。

黄昏の岸 暁の天内本編中、李斎の証言をおさらい

十二国記黄昏の岸暁の天(そら)

利き腕を失う武人としては致命的なキズを負いながらも命からがら生き残った李斎は、長い間伏せられてきた泰の様子を景王 陽子に語ります。

そのなかで気になったのが、明らかに偽王であるとわかっている阿選への反抗がことごとく失敗し潰えている点です。

黄昏の岸 暁の天 4章で、偽王である阿選に対し戴の兵や民を集め対抗することは不可能か、と景王 陽子は戴の女将軍 李斎に問います。

これに対し李斎は、

「 私も、不可能という言い草がどれほど愚かに聞こえるかは重々わかっているのです。けれども、それでも不可能でだと申し上げます…… 」

「 何一つ巧くは行かないのです。まるで砂で楼閣を築こうとしているようでした。せっかく人を集め、組織を作っても、その中から不思議なほど脱落者が出るのです 」

「 脱落した者は、阿選に寝返るか、さもなければ姿を消しました 」

小野不由美著 新潮文庫 完全版 十二国記 黄昏の岸 暁の天より

只人が失敗した、と言ったなら不思議にも思わないでしょう。しかし李斎は戴の首都 鴻基のある瑞州の州兵、瑞州師の将軍です。

驍宗や泰麒にも信頼され、重臣の一人として朝廷にも参加しているほどの人物。その李斎が何度も決起に失敗し、一度は保護してくれた州侯にすら裏切られているのです。尋常な状況ではありません。

簒奪者 阿選は幻術使い!

本編では明かされていませんが、実は泰の元禁軍将軍、簒奪者にして反逆の偽王 阿選はただの武人ではなく幻術使いです。

本編で明かされなければどこで知るのだ!ってお思いの方も多いことでしょう。実は本編ではないけれど黄昏の岸 暁の天のなかにちゃんと書いてあります。

お手持ちの黄昏の岸 暁の天を紐解き、本編最後のページを開いてみてください。十二国記の長編巻に毎度あるある史書風の記載に、こうあります。

孔始二年三月、文州に反あり。(中略)

丈阿選は禁軍右翼に在りて本姓は朴、名を高、兵を能くして幻術に通ず。非道を以て九州を蹂躙し、位を簒奪す。

『戴史乍書』

小野不由美著 新潮文庫 完全版 十二国記 黄昏の岸 暁の天より

兵を能くして幻術に通ず。あまりにもさらっと書いてあるので見逃している方も多いのではないでしょうか。

本編中では驕王時代に驍宗とともに禁軍将軍で、その驍宗とは双璧を為し、思考や戦術も近いと描写されていた阿選。

当然武人をイメージしていたのですが、まさか将軍にして幻術使いとは。

仙人だから神通力が使えて不思議はない?

実のところ、いくら仙とはいえ将軍職の阿選が幻術や神通力を使えるのは不自然です。

仙の神通力についてはかなり序盤で達姐が陽子に語っています。

「(前略)州候ともなれば普通の人じゃない。不老長寿で、神通力を操ったりする。まあ、別の世界の人だねえ」
小野不由美著 新潮文庫 完全版 十二国記 月の影 影の海より

これは一部誤りで、州候は国によって任じられた地仙。本編でも描かれている通り州候や将軍などの国に任じられた官吏らは仙ではあっても、不老で身体が丈夫になる以外には特別な神通力は持ちません。学がなく仙の実態を知らない達姐が誤って考えているのでしょう。

ただ、自力昇仙し一定以上の位を持つ飛仙なら妖力や神通力を使えます。

最たる例が慶国の宝重 水禺刀の鞘。これを作ったのは伯位を持つ飛仙 遠甫 乙悦です。

月の影 影の海で陽子が鞘を死なせてしまったため、地仙である冬官らが鞘を造ろうと試みたようですが、結局妖力を封じ込めることはできませんでした。

その点では国に任じられた禁軍将軍=地仙である阿選が幻術を使えるのはやはりおかしい。禁軍将軍となる前から飛仙だったのか、配下に幻術を使えるほどの飛仙がいるのか、はたまたなにかしら重宝のような妖力甚大な道具を持っているのか。はたまた、戴史乍書にある記述が大げさなだけなのか。

その答えは最新刊の白銀の墟 玄の月に持ち越しですね。

まとめ:戴の偽王に対する反乱が成功しなかった理由

本作 黄昏の岸 暁の天を最後に18年続編が刊行されてこなかった十二国記。

しかし、待望の続編 白銀の墟 玄の月が2019年中10月に2巻、11月にさらに2巻発売されることに!

黄昏の岸 暁の天に続く物語とのことなので、きっと阿選の幻術についても明かされることでしょう。なにより、いよいよ描かれる泰麒と李斎、そして驍宗と戴のその後。楽しみです!

早く読みたい!

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