ラストで吹いた風とあおいの涙の意味『空の青さを知る人よ』
残念ながら私は劇場で観ることが叶わなかった「 空の青さを知る人よ 」ですが、これは大スクリーンで観るべきだったと後悔しています。ごめんなさいごめんなさい十二国記既刊の読み返しと新作白銀の墟 玄の月とで忙しかったんです……
で、作品中でも特にラストシーンがとてもエモかったのですが、結構わかりにくくもあったので軽く考察しました。
なお、ラストシーンのネタバレになっているので未見の方は観賞後にもう一度ご覧になることをおすすめします。
印象的だったラストの風にはちゃんと意味があります
土砂崩れでトンネルに閉じ込められたあかねを無事保護したあと、13年前に別れざるを得なかった慎之助とあかねの背を押すため3人を車にのせたあおい。それが高校生姿の"しんの"との別れだと理解していたあおいは、帰り道「 泣いてないし 」と言いながらも、なにかを振り切るかのようにダッシュ&ジャンプ。
とても悲しいシーンですよね。行きは好きな人と一緒に空を飛んで行ったのに、帰り道は一人。精一杯ジャンプしてみても空は遠く、あまりの低さにいい歳したおっさん泣くかと思った。
な、泣いてないし!
で、ラストシーン、あおいの元を一陣の風を吹き抜け、彼女はハッと何かを悟ったように表情ののち、悲しみのあまり両手で顔を覆ってしまいます。と見せかけて、実はこのシーン、額を抑えているのです。
泣かせまいとする"しんの"の優しさ
ラストで吹き抜けて行った風は、あおいの想いに応えられなかった"しんの"の最後の優しさです。
慎之助が見失いかけていた夢を思い出し、あかねも13年越しの想いに応えたことで、役割を終えた"しんの"は消えてしまいます。で、"しんの"は青い空に溶けていく途中、目に涙をたたえながら走っているあおいの姿に気づきます。
自身の役割を終えた"しんの"にとって唯一気がかりだったのがあおいです。あおいが泣きそうな顔(っていうか泣いてる?)で走ってる。となれば"しんの"がやるべきことはひとつ。
あおいの額にふっ、と風を吹きかける。これが一陣の突風になって走っていたあおいの額を撫でたのです。
あかねを助けに行くとき空を飛びながらもやりましたよね、額にふっ。あかねに教えてもらったあおいを泣き止ませる「 攻略法 」です。おかげであおいは落っこちて死にかけたわけですが。
で、当のあおいはその風が自分のために吹かれたことに気づくと同時に、"しんの"の実体が見えないのに風が吹いたことで、"しんの"がついに消えたことを察した。それで悟ったような顔をしたのでしょう。
このあと顔を伏せて結局は泣き止むのですが、“しんの"の想いを受け止めてなんとか我慢したんだ、と思うとやりきれませんね。その健気さはさすが姉妹といったところ。同じ男を好きになったのも血は争えないってことかな。
まとめ:空の青さを知る人よ
- 最後に吹いた風は、"しんの"が一人ぼっちで走るあおいを泣かせまいとおデコに吹いたもの。
- あおいはその風を受けて"しんの"の喪失と自身の失恋を悟った。
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