デッドプールとウルヴァリン:X-MEN ZEROは矛盾してない?

2021年5月31日

実写映画X-MENシリーズで人気が出まくり、スピンオフ映画が作られたヒュー・ジャックマンが演じるウルヴァリン。

ローガンもウルヴァリンスピンオフ枠といえますが、それを除いてもウルヴァリン: X-MEN ZEROとウルヴァリン: SAMURAIの2本が制作されています。

今回テーマとなるのが、同じくX-MENと世界観を共有する映画デッドプールと、ウルヴァリン: ZEROに出ていたデッドプール(ウェポンXI)の存在が矛盾するのではないか、というところ。

結論から言えば、映画デッドプールとウルヴァリン: X-MEN ZEROのデッドプールの存在は矛盾しません(と、見せかけて……)。

映画デッドプールとウルヴァリン: X-MEN ZEROの矛盾

20世紀FOX デッドプール公式ページより ©Twentieth Century Fox Film Corporation./Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

ウェポンXIとデッドプールは同一人物。

まず前提として、ウルヴァリン: X-MENで登場するウェポンXIも、映画デッドプールで主人公として登場するデッドプールも同じウェイド・ウィルソンです。

しかし、ウルヴァリン: X-MENでウェイド・ウィルソンがウェポンXIとなったのは1979年。

映画デッドプールでウェイド・ウィルソンがデッドプールとなったのは現代の2016年。

映画デッドプールに出てくるウェイドは目からビーム出すどころか、そもそもミュータントですらなかったのです。

世界観を共有しているはずのウルヴァリン: X-MEN ZEROと映画デッドプールとで矛盾があり設定が噛み合わず。

ただ、実はこの点は矛盾しません。

過去改変でウルヴァリン: X-MEN ZEROはなかったことに

映画X-MENの時系列はフューチャーアンドパストでリセットされた

実はX-MEN: フューチャー&パストで過去と歴史が変わった影響で、ウェイド・ウィルソンがウェポンXIに改造されなかった可能性があります。というか、その可能性が濃厚です。

そして映画デッドプールでヴァネッサに出会い末期がんになる2016年まで特に大きな事件もなく、のうのうとおしゃべりクソ野郎を続けていられたのです。

X-MEN: フューチャー&パスト劇中、ウルヴァリンが精神だけを2023年から過去に飛ばし1973年の自分の身体を乗っ取る形でタイムスリップ。世界の歴史を大きく改変しました。

この過去改変の影響でX-MEN世界の歴史はリセットされ、X-MEN / X-MEN2 / X-MEN: ファイナルディシジョン / X-MEN: フューチャー&パストの未来パートで起こった出来事はすべてなかったことに。

そしてウルヴァリンが1973年の時点の自分自身の身体を乗っ取って行動したことにより、ウルヴァリン: X-MEN ZEROで起こった出来事もなかったことになります。

1973年といえばウルヴァリン: X-MEN ZEROでウルヴァリンがストライカーや実兄のビクターと袂を分かちチームXを脱退したころ。

その後フューチャー&パストで川に沈んでしまったウルヴァリン=ジェームズ・ローガンの身体はストライカーに回収され、結局例の巨大ダム基地で全身アダマンチウにされてしまいます。

しかし、ウルヴァリン: X-MEN ZEROでは1979年に自力で脱出していたウルヴァリンも、改変されたあとの歴史では自力で脱出できなかったらしく、ジーン・グレイらによって解放されています(1983年)。アダマンチウムの実験体となるところまでは同じですが、細かい経緯が変わりました。

同じく歴史改変の影響により、ウェイドも映画デッドプールで描かれる2016年を迎え、めでたく末期がんになれたことに説明がつきます。

一応映画デッドプールでもウェイドは元特殊部隊と説明されているし、無事にチームXを抜けて軍を退役したのでしょう。

矛盾はないと言ったな? あれはウソだ。

要は過去を変えたせいでいろいろ変わったおかげでウェイドはウェポンXIにならなかった。だから映画デッドプールで末期がんになっていろいろあってデッドプールになってもおかしくはないよね、って話がここまで。

いやホント、X-MEN: フューチャー&パストはスゴイ。わかりにくさはありますが、リブート方法としてこんなに見事なものはありません。映画界に残る手法だったのではないでしょうか。めでたしめでたしです。

しかし……

矛盾はないといったな? あれはウソだ。

フューチャー&パストの歴史リセットで説明がつくとみせかけて、実はまだ矛盾が残ります。

映画デッドプールでのウェイドはミュータントではない一般ピーポーです。彼がミュータントになったのは、末期がんを治すために怪しい実験に身体を差し出した結果、突然変異をしたため。ガンで死ぬことがなくなったのはそのおかげです。

しかしこれではおかしい。ウルヴァリン: X-MEN ZERO出てきたウェイドはもともとミュータントだったのですから。

先述の通り、ウルヴァリンが自分の身体を乗っ取ってフューチャー&パストで過去を変えたのは1973年。チームXを抜けたあとです。であれば、フューチャー&パストの歴史改変がそれ以前の出来事に影響を及ぼすことはありません。

しかしウェイドはウルヴァリンがチームXとして参加した戦闘に登場しミュータントとしての能力を見せています。

この矛盾自体、「 ウルヴァリン: X-MEN ZEROのウェイドと映画デッドプールのウェイドは別人 」とか、「 キュアなどミュータント治療薬によりミュータントでなくなっていた 」とか、絶対に解決できないものではありませんが……

そんな言い訳はちょっと苦しすぎるのではないでしょうか。こんな重箱の隅っこつついて喜んでる私くらい野暮な感じがします。

まとめ:デッドプールとウルヴァリン:X-MEN ZEROは矛盾してないけどしてる

  • ウルヴァリン: X-MEN ZEROでウェイドがすでにデッドプール化しているため、映画デッドプールでのウェイドの存在は矛盾?
  • ↑ フューチャー&パストで過去が変わる際にウルヴァリン: X-MEN ZEROでの出来事も変わっているため、実は矛盾しない。
  • ただし、ウルヴァリン: X-MEN ZEROで登場したウェイドは改造前からミュータントだったのに映画デッドプールのウェイドは非ミュータントという矛盾は残る。

せっかくフューチャー&パストで天才的で見事なリブートを見せつけてくれたのに、ウルヴァリン: X-MEN ZEROの存在が完全に足かせになっています。

どちらかといえばウルヴァリン: X-MEN ZEROの方が先だったんだからデッドプールの方で細かい辻褄合わせるべきだったのですが……

とはいえ映画デッドプールはかなりの人気だし、多少の矛盾はあれどこれでよかったのでしょう。そもそもデッドプール自体、細かいこと考えるような映画でもありませんし。

そろそろ「 君、野暮だよ! 」ってスクリーン越しに目からビームされそうなので、この話しはこの辺で。

※2019年3月26日追記:大人の事情によりこの野暮な矛盾もなかったことになりそうです。詳しくは下記リンクより。