【豆知識】タイタニックには沈没した姉妹船があった。
美しい二人の若者の悲恋と巨船の沈没を描いた映画「 タイタニック 」。
実際に「 絶対に沈まない 」と謳われた当時最先端の巨大客船タイタニック号が、処女航海において沈没したのは有名な話です。
が、実はタイタニック号には同型の姉妹船が2隻造船され、タイタニック号も含め3隻存在したことはあまり知られていません。
RMSオリンピック号とHMHSブリタニック号
タイタニック号の姉妹船、その名もRMSオリンピック号とHMHSブリタニック号です。
実は3隻の内ではオリンピック号がネーミングシップの1番船。映画化もあり3隻のなかでも最も有名なタイタニック号は、オリンピック級の2番船ということになります。
タイタニック号が沈没した際にSOSを受信し、オリンピック号も救助のため現場に急行しています(実際に救助したのは近くにいた他の船)。
ちなみにRMSはRoyal Mail Shipの略で、客船であると同時に郵便船であることを表しています。
タイタニックも正式にはRMSタイタニック号。実際に船上で手紙を投函することも可能でした。
3番船にあたるブリタニック号はRMSではなくHMHS(His Majesty Hospital Ship)を頭につけており、これは病院船を意味する言葉です。
タイタニック号と同じ運命をたどったHMHSブリタニック号
タイタニックと言えば沈没。しかも処女航海で。映画ファンに限らず認知度の高い事実です。
これを受け、後継の3番船であるブリタニック号は救命ボートとボート用クレーンの増設、二重船底部位や防水隔壁の拡張など安全面の強化が図られました。
船長にはオリンピック級にも匹敵するルシタニア・モーリタニア・アキタニアの船長を務めた経験を持つチャールズ・バートレット氏が就任。
ハードウェアもソフトウェアも万全。これで本当に「 絶対に沈まない船 」になる……はずでしたが。
結局ブリタニック号も沈没。
ブリタニック号の竣工当時の1915年はは第一次世界大戦の真っ只中。イギリス海軍に徴用され、病院船として運用されました。他と違いRMSではなく病院船であることを示すHMHSがつけられたのはこのため。
そんなブリタニック号、6度目の地中海航海の最中にドイツ軍が設置した機雷に触れてしまい、船体を大きく破損。結果沈没してしまいます。この時の死者は、乗員1000人以上に対して21名。死者のほとんどは最初に下ろした2隻の救命ボートに乗り込んだ人々でした。
最初の2隻の救命ボートを下ろしたときブリタニック号のスクリューがまだ停止しておらず、巻き込まれてしまったのです。混乱の最中に起こった悲劇です。
なお、この2隻の救命ボートに乗り込んだ人々の内、重症を負いながらも生き延びた生存者が一人いました。
彼女の名前はヴァイオレット・ジェソップ。なんとタイタニック号で女性客室係を務めており、その沈没でも生き延びた女性です。
一生のうちに同型の船で2度も沈没を経験するなんて、もう船はコリゴリでしょうね。
Uボートを沈没させたRMSオリンピック号
「 絶対に沈まない 」はずなのに沈没してしまったタイタニック号とブリタニック号。
呪いにでもかかっているのではないかと思うほどですが、ネーミングシップの1番船オリンピックだけは沈没どころか、他船を沈没させる大活躍(?)。
というのも、オリンピック号もブリタニック号と同じく第一次世界大戦でイギリス海軍に軍輸送船として徴用されまして。
その航海のなかで悪名高いドイツの潜水艦 Uボート U-103と会敵。1918年5月12日のことです。Uボートもまた映画で有名ですが、実際に第一次世界大戦時には約300隻が建造され、商船を約5,300隻を沈めた戦果を持つ潜水艦。単純計算でUボート一隻が平均17隻商船を沈めている計算。
軍輸送船として多少の武装もあったとはいえ、もともと商船のオリンピック号にとってはまさに天敵です。
普通は死を覚悟しつつ退避するところですが、オリンピック号の船長バートラム・フォックス・ヘイズ氏は機転を利かせ、魚雷を回避後Uボートに船を突撃させます。
そしてオリンピック号の船体で体当たり。巨船に衝突されたUボートは船体を大きく損傷し、沈没します。
これは世界第一次大戦において商船が戦艦を沈没させた唯一の戦果であり、ヘイズ船長はのちに米国政府より殊勲十字勲章を授与されました。
この逸話から、オリンピック号は海軍の徴用を解かれたのちOld Reliable(頼もしいおばあちゃん)と呼ばれ親しまれるようになります。
なお、戦後客船に戻る際に受けた点検で、オリンピック号の船体になにかと衝突したへこみが発見されました。調査の結果、魚雷との衝突跡と判明。魚雷が不発弾だったため事なきを得ましたが、もし魚雷が正常に作動していたら、オリンピック号もタイタニック号やブリタニック号と同じ運命をたどっていたことでしょう。
その後オリンピック号は客船として500回もの大西洋横断航行を行い、1935年に引退。解体されます。しかし豪華な船の解体を惜しむ声もあり、内装の一部がオークションに出品されました。その内装はイギリスのセレブな夫人が落札し、屋敷のダイニングに使用。
夫人の死後は屋敷ごと再びオークションに出され、今度は世界でも有数の船会社であるロイヤル・カリビアン社が落札します。
そしてオリンピックの内装は2000年に竣工された同社の客船、ミレニアム号のレストランに使用されました。
実際にオンリンピック号で使われた食器類が使われ、またタイタニック号とほぼ同じ内装を見られることから、「 オリンピックレストラン 」として人気を博しています。
クソ映画呼ばわりされたアデルにもタイタニック号が!?
タイタニック号といえばまず映画「 タイタニック 」が頭に浮かぶかと思います。
が、実は2010年に公開されたフランス映画「 アデル ファラオと復活の秘薬 」にもタイタニック号登場しています。
(似たタイトルの映画「 アデル、ブルーは熱い色 」とは別物です)
タイタニック号は終盤になかなか衝撃的な登場の仕方をしているのですが、ネタバレになるのでここでは触れないでおきましょう。
ちなみにこのアデル、独特のシュールな雰囲気と演出から「 面白くない 」「 つまらない 」なんて意見も多くあります。が、私個人的は好きな映画の一つです。
フランスの名作映画「 アメリ 」に通ずるどこか牧歌的でキュートな感じが魅力的な映画。何より主演女優の ルイーズ・ブルゴワンが超キュート。
アメリやインディージョーンズ、ハムナプトラ、ナイトミュージアムを混ぜたようなシュールな冒険活劇です。これらのタイトルでピンときた方にはオススメ。
なあに大丈夫。最悪でも「 アデルってクソ映画を観たよ 」と話題にはなりますから。
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