ミレニアムファルコン号の12パーセクってどうスゴイ?【スターウォーズ】
スターウォーズで登場する数ある艦船の中でも最も高い人気を誇るミレニアムファルコン号。
「 ケッセルランを12パーセクで飛んだ 」伝説の船として有名で、ハン・ソロもそのことを誇りに思っているし、エピソード7で登場した次世代のレイも知っていたり。遠い昔、遥か彼方の銀河系ではそれなりに有名な逸話になっている模様。
今回はジョージ・ルーカス監督の致命的な間違いから生まれた「 ケッセルランの12パーセク 」の謎と、それがどれくらいすごいことかに迫ります。
パーセクは実在する天文学の距離単位
パーセクとは実在する天文学における距離単位です。
1パーセク=約3.26光年程度のスゴイ距離。以下Wikipediaより引用。
パーセク(英語: parsec、記号: pc)は、距離を表す計量単位であり、約 3.085 677 581 × 1016 m(約3.26光年)である。主として天文学で使われる。
1981年までは天文学の分野に限り国際単位系 (SI) と併用してよい単位とされていたが、現在ではSIには含まれていない単位である。
年周視差が1秒角 (3600分の1度) となる距離が1パーセクである。すなわち、1天文単位 (au) の長さが1秒角の角度を張るような距離を1パーセクと定義する[1]。
1 パーセクは次の値に等しい。
約 3.085 677 581×1016 m = 約 30.857 Pm(ペタメートル)[2]
約 206 264.806 247 au(天文単位)
約 3.261 563 777 光年名称は「per sec (毎秒) 」の意味と説明されることがあるが、これは誤りである。正しくは、「parallax (視差) 」と「second (秒) 」を組み合わせてできたものである。
どれくらいすごいのかイマイチピンときません。
ここでGoogle先生の出番。12パーセクなどと検索するとメートルに直して表示してくれます。
それこそ天文学的数字でケタ数があまりに多くなるため、文字化け風に変換されています。たまにExcelでみかけるヤツ。文字化けではなく、桁数がすごすぎるため圧縮しています。つまりやっぱりよくわからん。
はじめて知ったときは「 スターウォーズのパーセクまで対応するなんてGoogleの遊び心スゲェ! 」と感動したのですが、パーセクはスターウォーズのオリジナル単位ではなく、実在する天文学的距離の単位だったってオチ。
ルーカス監督、距離ではなく時間と勘違い
パーセクの意味はわかっても「 ケッセルランを12パーセクで飛んだ 」の凄さがまだわかりません。
日本語で直すなら「 東京から大阪まで500kmで走った 」と言っているようなもの。
どんなスーパーカーでも軽自動車でも東京~大阪間は新東名通って大体500km強走ることになります。
これ、実は脚本を書いたジョージ・ルーカス監督がパーセクを距離の単位ではなく時間の単位だと勘違いしていたため。
「 東京から大阪まで30分で走ったスーパーカー 」みたいなニュアンスのセリフのつもりが「 東京から大阪まで500kmで走った車 」のようなわけのわからない逸話になってしまったのです。
バックトゥザフューチャーのジコワットみたいな間違いです。
ファンたちによって別の伝説へ
しかしこの間違い、スターウォーズのファンたちは認めることができませんでした。
「 12パーセクで飛んだ船www 」とミレニアムファルコン号のことをバカにされることが許せなかったのでしょう。
しかし映画スターウォーズを何度見返してみたところでハン・ソロが自慢げに「 12パーセクで飛んだ(ドヤァ) 」と言っていることは覆らない。
そこで間違いを認められなかったファンたちにより、別の解釈がなされます。
そもそもケッセルランとは、スパイスの産地であるケッセル星からスパイスを運びだすためのルートのことを指します。そこでファンたちは、
- ケッセルランには数多くのブラックホールや隕石群があり、距離の短いルートをとるには非常に大きなリスクがある
- ミレニアムファルコン号はショートカットで超危険なルートを飛んだスゴイ船
と解釈するようになったのです。
ミレニアムファルコン号は「 ただ速いだけでなく、危険な航路を飛んで見せた 」伝説の船なのです。
(危険って意味では後にデススターとかもっとヤバいとこも飛んでる)
映画本編を観たわれわれとしては「 デススターの中を飛び回った魔改造輸送船 」の方がスゴそうな気もしますけど、それは後の話し。
いずれにしてもエピソード7世代のレイですら「 14パーセク(12パーセクの勘違い) 」の逸話が出てくるということは、「 ケッセルランを12パーセク 」はそれだけスゴイことということなのでしょう。
エピソード7でファンによる12パーセク説がオマージュされる
本当は「 12パーセクで飛んだ 」は単純にジョージ・ルーカス監督のミスだったのが、脳内変換によりファンたちの精神衛生は保たれました。
(そもそもパーセクなんて馴染みのない一般人からすれば、よくわからないけどスゴイんだなミレニアムファルコン号、としか思えませんけど)
その後、公式としてファン説をオマージュしたフォローが入ることになります。
スターウォーズ エピソード7 フォースの覚醒での主人公レイによる「 14パーセク 」発言。
レイの「 この船がケッセルランを14パーセク(約45光年)で飛んだ船? 」との言葉に、ハン・ソロはかなりムッとしながら「 12パーセク(約39光年)だ 」「 14パーセクだと? 」と訂正しています。
ファンによる「 ケッセルランを12パーセクで踏破する危険な航路を飛べたことがスゴイ 」説が公式に認められた瞬間です。
アニメクローン・ウォーズでも
スターウォーズ映画本編ではなくスピンオフのためあまり広くは知られていないのですが、ハイパージャンプ短い距離=低パーセクで飛ぶ点についてフォローが入っている描写がエピソード7以前にもあります。
それがアナキン・スカイウォーカーが主役であるエピソード123のスピンオフアニメ、クローン・ウォーズ。
第3話でアナキンらがグリーバス将軍の魔の手にかからんとする銀河外縁部の医療ステーションを助けるために、密輸屋が使う経路「 バルモーラ・ラン 」を使用します。
このとき、「 あれほど大きな船では10パーセク以下での距離設定は難しい 」との言及があります。これはバルモーラ・ランにはマンタと呼ばれる動物の巣があるため。
結果的にアナキンは自身はショートカットし、10パーセク以下のルートを取ることに成功しています。
そしてスピンオフ映画「 ハン・ソロ 」でも
2018年6月にはハン・ソロとミレニアムファルコン号との出会いを描いたスピンオフ映画、「 ハン・ソロ 」が公開されました。
そこで直接、ハン・ソロとミレニアムファルコン号がいかに出会い、ケッセルランをたったの12パーセクで飛んだかが直接描かれています。
スターウォーズファンならぜひぜひ、チェックしたいところですね。
まとめ:ミレニアムファルコン号の12パーセクはなにがどうスゴイ?
- パーセクは実在する距離の単位で、ジョージ・ルーカス監督が脚本執筆時に使い方を間違えた。
- ファンによる「 危険なケッセルランのショートカットルートを飛べたことがスゴイ 」説がオマージュされたシーンがエピソード7のレイとハン・ソロの会話。
- 実際にケッセルランを12パーセクで飛ぶ伝説の瞬間が、スピンオフ映画「 ハン・ソロ 」で描かれている
ただの間違いをファンが考察して整合性をとり、それを公式が本編で触れる。こうしたファンと映画のコミュニケーションと小ネタの遊び心が、スターウォーズの魅力のひとつでもあります。
続編が出るほどにああでもないこうでもないと批評も上がりがちなスターウォーズですが、それも楽しみにしているからですよね。
スターウォーズの続編映画はまだまだたくさん作られる予定ですし、私自身これからもすごく楽しみです!
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