第5話の敵前逃亡、ノノが立ち去った理由 – トップをねらえ2!
「トップをねらえ2!」の終盤「第5話 星を動かすもの」で、エグゼリオ重力変動体を前に、共闘を申し出るラルク。しかし、ノノはラルクをも置き去りに姿をくらましてしまいます。
「この展開で敵前逃亡とかある!?」と叫びたいところですが、ノノには戦うわけにはいかない理由があったんです。
なぜならば!
なぜノノは戦場から去ってしまったのか
このときの軽く状況を整理すると、OVA第4話から第5話にかけて数々の衝撃の事実が明かされ、激動が起こった直後のこと。
「星を動かすもの」ラルクのバスター雷王星落としでも倒しきれないエグゼリオ重力変動体に対し、人類は雷王星を重力崩壊させて倒す作戦を立案。
この作戦にノリノリなラルク。しかし、ノノは誘いに乗るどころか戦闘を放棄。ラルクの前から去ってしまいます。
スパロボ魂に目覚めたラルク、しかし
ノノが去った理由は「犠牲覚悟の特攻は受け入れられなかったから」です。
雷王星を重力崩壊させる作戦自体は、前作「トップをねらえ!」のバスターマシン3号を踏襲したもの。
しかし前作との決定的な違いが、ラルクとノノには重力崩壊を起こしたあと生還する手段がない点。でもラルクは特攻も承知の上。
もちろん、ノノ一人じゃ行かせない。私も行くよ。
アニメ トップをねらえ2! OVA第5話 「星を動かすもの」より ©GAINAX / トップ2制作委員会
わくわくする! 二人で世界を救うんだ!
一緒に星になろう! ノノ!
スーパーロボット魂に目覚めたラルクが決死の覚悟を決める熱い展開です。しかし、ノノには到底受け入れられない提案でした。
ノノは少し寂しそうな表情を残して去るしかなかったのです。
星にはなれないノノ、なぜならば!
実はノノが特攻を是認できない真の理由は「トップをねらえ2!」の鶴巻監督が本作で描きたかったテーマに関わるものですが、そこは後述するとして。
ノノが作中で戦わずに去った理由、なぜならば!
- ノノの憧れ、ノリコの意志に反する
- 憧れのラルクお姉さまを死なせたくない
まず一種の諦めともいえる「特攻」自体、「諦めず努力と根性で乗り越える」を宗とするノリコの意志に反しています。1万2千年前、ガンバスターで直接バスターマシン3号の重力崩壊を生させるしかない状況でも、ノリコは生還を諦めてはいませんでした。
一方、重力変動帯と対峙したラルクとノノの場合は特攻前提。
雷王星の重力崩壊作戦は、ノノの憧れであるノリノリ(ノリコ)の諦めない精神に反すると同時に、憧れのお姉さまラルクの死にもつながるわけです。しかもラルクは「一緒に星になろう!」とかすでに気持ちよくなっちゃってる。
ノノがバスターマシン7号として命を賭して戦うことに抵抗があったとは思えません。しかし、戦いの結果命を落とすのと、自殺前提の戦いとでは意味がまったく意味合いが違います。しかも、それが2つの憧れを潰すとなれば、一旦逃げる選択肢をとるしかなかった。
しかも、エグゼリオ変動重力源はすでに一度重力崩壊を乗り越え、自身を封じていたブラックホールすら吞みこんで強大な力を手に入れた存在。雷王星の重力崩壊も克服し、もっとでけえブラックホールつけて出て来ちゃうかもしれない。
この時点で人類に側に有効な手立てがなかったとはいえ、まだ「ダイバスター」を温存していたノノとしては、諦めともいえる特攻を是認できるわけがなかった、とも考えられます。
メタ的な視点で示唆されたテーマ
トップをねらえ2!の監督である鶴巻さんが語ったところによると、ノノの敵前逃亡はほかのアニメへのアンチテーゼであると同時に、「トップをねらえ!」が描くテーマとしての意味ももっています。
要約すると、「アニメ的な快感は必要だし否定はしないが、主人公が犠牲になって死ぬことで気持ちよくなってしまうのは、トップをねらえ!で描いていたこととは違うんじゃないか」と。
トップレスというのは、万能感のメタファーであって、万能感が過剰になっていくと気持ちがいいんですよね。気持ちがいい事を否定したくはないけど、「気持ちがいいんだからいいでしょ!」だけでは、立ち行かないなあというのがあって、ああいう展開になっていると。
(中略)
大事なテーマまで見失わせるほどの気持ちよさというのは、恐ろしいと思ったんです。
(中略)
大抵の場合、主人公の苦悩は言い訳であって、快感を描く事が目的なんだと思うけど、『トップをねらえ!』で本当に描いていた事ってどうだったのかなって。
鶴巻和哉が語る『トップをねらえ2!』秘話 より © 2000 STUDIO YOU
「トップをねらえ2!」の主人公であるノノが敵前逃亡なんて熱血ロボモノとは思えない行動をとったのは、「トップをねらえ!」にかける制作陣の想いを背負ってのことでもあったのです。
まとめ:トップをねらえ2!でのノノ敵前逃亡の理由
- バスターマシン7号としてもノノとしても、自身とラルクが犠牲になる前提の作戦は呑み込めなかった
- 製作陣としても、トップをねらえ!が描いたものに対して犠牲は違う、と感じた
- そのため、万能感と主人公の犠牲による快感に対するアンチテーゼとしてノノの出奔を描いた
最後に一言!
やっぱりガンバスターは!
第五話が熱い!!
なぜならば!!!
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