Zガンダムのカツに迫る勢いでガンダムファンには嫌われ者なハサウェイですけど、私自身は結構ハサウェイに対して穏健派なつもりです。
が、ようやく映像化された劇場版「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」を観て抱いたのは、「はよ◯ねハサウェイ」って感情。
気づいたんです。原作のハサウェイは許せるけど、劇場版のハサウェイは許せないと。
多分ね、ケネスにとり憑いたクェスも「こんなクソ野郎、やっちゃいなよ! 大佐!」とか言ってると思う。
致命的なネタバレはないつもりですが、劇場版・原作含め閃光のハサウェイ、逆襲のシャア、ベルトーチカ・チルドレンについていろいろ語っています。
ネタバレいやだ! って方は下記の記事がオススメ。
劇場版 閃光のハサウェイは原作小説とほぼ同じなのに

HOBBY SEARCH ガンプラ HGUC 1/144 Ξガンダム ©BANDAI SPIRITS 創通 サンライズ
初めて本格的にミノフスキークラフトを搭載したモビルスーツ Ξガンダム。
まだ劇場版 閃光のハサウェイ観てない方には申し訳ないんですが、劇場版は原作小説とほぼほぼ同じでした。一部セリフが微妙に違ったり削られたりはあったようですが、ほとんどそのままと言っていいレベル。終わるところもピッタリ原作小説の上巻と同じとこですし。
ではなぜ、同じハサウェイなのに原作小説では許せて劇場版では許せないのか。
そりゃもう、原作小説のハサウェイはアムロとシャアの後継者になってしまった可哀想な青年で、劇場版のハサウェイはただのクソ野郎だからです。
実はそれぞれの前作「逆襲のシャア」に違いが
実は原作小説のハサウェイと劇場版ハサウェイには大きな違いがあります。
味方であるチェーンを殺したクソ野郎か、想い人を手にかけてしまった悲劇の主人公か。
ハサウェイがガンダムファンに嫌われ気味な最大の理由は逆襲のシャアでチェーンを殺したこと。
しかし、原作小説版におけるハサウェイは味方殺しはしていません。むしろ、想い人であるクェスを手にかけるという、アムロことアフロと同じ悲劇を味わったかわいそうなヤツなんです。
同時に「全人類を宇宙に上げる」シャアの理想を引き継いだハサウェイは、よくも悪くもアムロとシャアの薫陶を受けた最後の主人公。もはや後継者といっても差し支えないでしょう。
主人公の素質でいえばバナージの方が強いけど、彼はアムロにもシャアにも直接会ったことはないのが残念。
原作小説はベルトーチカ・チルドレンの続編

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン
というのも、原作小説と劇場版とでは、閃光のハサウェイの過去が違うんです。
劇場版閃光のハサウェイは劇場版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の続編。
しかし、原作小説版の閃光のハサウェイは小説「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」の続編なのです。
タイトルが示す通りベルトーチカ・チルドレンも「逆襲のシャア」で、おおまかなストーリーは同じです。が、細かい部分の設定が違います。
なかでも大きな違いのひとつがハサウェイの扱い。
シャアのもとへ走ってしまったクェスを追ってハサウェイが密航したりジェガンを盗み出して無断出撃していくところまでは劇場版 逆襲のシャアと一緒です。
ただ、劇場版だとそのあとクェスを殺されてブチ切れたハサウェイがチェーンを殺す流れなんですが、ベルトーチカ・チルドレンではそんな暴挙には出ません。
その代わり、アムロを援護するためにハサウェイが放ったビームがα・アジールのコックピットに直撃し、想い人であるクェスの命を奪う結果になってしまうのです。
ベルトーチカ・チルドレンは劇場版 逆襲のシャアを制作する際、偉い人に却下されてしまった初期の脚本をそのまま小説化した作品。
基本的なストーリーラインは劇場版と同じでありながらほかにもいろいろと違うところがあって面白いので、興味ある方はぜひ。長らく小説しかなかったのですが、コミカライズもされました。白いサイコドーガかっこいい。
アムロとシャアの後継者か、ただのクソ野郎か
原作小説版のハサウェイはちょっと痛いヤツではあるものの、想い人のララァを手にかけてしまったアムロと同じ痛みを抱え、シャアと同じ理想を唱える「主人公らしい主人公」なんですよね。
あと、原作小説版だとギラ・ドーガのみならずα・アジールを撃墜した戦果もあってジェガン奪取の罪はうやむや、それどころか若くして大手柄をたてた英雄としてちょっとした有名人なのです。それこそ、一年戦争で手柄を立てて有名になったアムロみたいな。
しかし、劇場版 逆襲のシャアでは戦果はギラ・ドーガ一機の撃墜だけ。で、明確な殺意を持って連邦軍の士官が搭乗するモビルスーツを撃墜するという暴挙。チェーンはリ・ガズィが不調でまともな回避運動もできない状況だったのに。
躾甘いぞ! 教育どうなってんの!
これ、「父に迷惑かけた」で済むレベルなんですかね。私の知るブライトならその場で銃殺刑にしかねないんですが……
最低でもぶつよね。二度はぶつよね。アムロが帰還してなくてよかったね。νガンダムで踏みつぶされるところだよ。
そこのクソ野郎! 一方的に殴られる痛さと怖さを教えてやろうか!
クソ野郎っぷりに拍車がかかる劇場版
閃光のハサウェイ劇中、ハサウェイがマフティー・エリンその人だってギギにあっさり見抜かれて、あっさり認めて、ってやらかしてるんですよね。
しかも、反連邦活動仲間のガウマンやエメラルダたちがハサウェイのために命がけで陽動をかけたり迎えに来てくれるってときに、連邦政府が用意してくれた超高級ホテルでギギとキャッキャウフフ、敵の大将、ケネス大佐とも仲良くしちゃうわけです。
マジでクソ野郎だな。
さらにいえば逆襲のシャアのあと、ハサウェイが精神的に苦しんで廃人みたいな時代を支えてくれた女性を裏切ってもいる。
その辺の流れも原作小説でも劇場版でもほぼほぼ同じ。でも原作小説だと地の文でハサウェイがなにを考えているのかわかるのでまだ理解できます。ギギの異常なまでの洞察力(?)を感じ取ったハサウェイは下手にごまかすこともできなかった。
劇場版でもハサウェイが逡巡している感じは見てとれたんですけど、映像で描かれたギギが魅力的すぎて女にたぶらかされている感が強すぎる。
しかも、先述の通り劇場版のハサウェイは逆襲のシャアのときにやらかしてしまったクソ野郎。
片やアムロの哀しみとシャアの理想を持ち、二人の後継者ともいえるハサウェイ。片やただのクソ野郎なのです。そんなクソ野郎が仲間よりギギととっちゃう。
ケネス! ビームバリア早く!
レーンなんかに任せるな!
私としては、原作小説版のギギはちょっと下品に感じてあまり好きではなかったんですが、劇場版のギギはやってることも言ってることも同じなのにすごく魅力的。
だってギギ・アンダルシア(CV:上田麗奈)ですよ?
SSSS.GRIDMANの新条あかねのあの声ですよ? それで二面性あってコロコロしてるギギですよ?
しかもペン回しがめちゃくちゃうまい。
そりゃテロなんかどうでもよくなるのもわからんでもないけどさクソ野郎。それに付き合わされて命かけなきゃいけないガウマンとかエメラルダの苦労も考えてやりなよ。
まとめ:ハサ、おまえ冗談だろ?
要は原作小説版「閃光のハサウェイ」のハサウェイはアムロと同じ境遇でかわいそうだし、シャアの理想も継いだハイブリッドなヤツでちょっとカッコいいしで許せる。
でも劇場版のハサウェイはヒロインであるチェーン殺しちゃったのにそれも親のコネで許されちゃってるし、仲間の苦労も知らずに美女といちゃつくし。
いやホント、なんてやつだ!