【白銀の墟 玄の月】阿選が絶対にアレを受け得ない理由
本記事は十二国記の新刊 白銀の墟 玄の月 第一巻、第二巻を読んだ方向けの記事です。
超絶ネタバレを含むのでまだ二巻まで読了されていない方はご覧にならないよう。
目次も開かないことをオススメします。
ヒントをお出しするならば、白銀の墟 玄の月のある伏線は風の海 迷宮の岸・黄昏の岸 暁の天の巻末と風の万里 黎明の空 下巻をよく読み込むとわかるあのこと、です。
本編で明かされたなかったとある理由
新潮社十二国記公式ページより ©️小野不由美 / 新潮社
天意のためか麒麟の欺瞞か。泰麒の思い切った行動により複雑な利害関係を露わにした白銀の墟 玄の月。
今回のテーマは、「 本来なら阿選が絶対に次王たり得ない理由 」についてです。
白銀の墟 玄の月の第二巻では琅燦によって阿選が簒奪者であることを抜きにしても絶対に次王になり得ない理由があると示唆されています。
その理由は白銀の墟 玄の月第二巻までの時点では結局伏せられたままですが、実は既刊でそのヒントが示されていました。
事実関係の整理
まず白銀の墟 玄の月での事実関係と状況を整理すると、
- 驍宗は生きているのに、阿選に王としての天意があると泰麒が発言
- しかし先王が生きている状況では新王即位はあり得ないので、驍宗の禅譲が必要と発言
- 阿選に王として民を治めさせ、白圭宮で瑞州侯としての地位を取り戻すための演技?
- 泰麒の面前に驍宗を連れて来させるための嘘?
現状では泰麒の言動が欺瞞か本当に天意なのかかが濁されています。本当に阿選が次王なのか、それとも泰麒が民のため政を行うための欺瞞なのか。はたまた、驍宗を連れて来させて取り返すためなのかもしれない。
ただ、阿選側についていた琅燦は泰麒の言動をこう解釈しました。
- 天としても政が放置され民が苦しんでいる戴の現状をよしとはしない。
- しかし驍宗自身に非はないため、天が積極的に驍宗を排除することはできない。
- 阿選側としても新王が立っては都合が悪いため驍宗の命を奪おうとは考えていない。
- そこで天は、驍宗を禅譲させたら阿選を次王にしてやる、と持ちかけている。
琅燦の思わせぶりな「 阿選が次王に選ばれ得ない理由 」発言
この解釈の真偽のほどは置いといて、今回のテーマ琅燦による思わせぶりなセリフに戻りましょう。
白銀の墟 玄の月 第二巻から引用します。
「いわば、天は泰麒を介して取引を持ちかけてきているんだ。阿選の権を持って驍宗様に禅譲させれば、代わりに次の天命を下す、って」
張運は唸った。
「では、驍宗に禅譲させる、これは絶対条件か。」
だろうね、と琅燦は頷いた。
「たぶん他の選択肢はない。ほかの手段を取って驍宗様を排除すれば、天は大手を振って天命の在処を変えるだろう。そのとき、たぶん阿選はその中に含まれない。なにしろ、天を悩ませている張本人だし、しかも阿選にはほかにも選ばれ得ない理由がある」
「理由、とは?」
張運の問いに、琅燦は答えなかった。
小野不由美著 新潮文庫 完全版 十二国記 白銀の墟 玄の月第二巻より
そこまで言って答えてやらないんかーい!
天を悩ませている張本人、の意味はつまり天命を受けた正当な王である驍宗を排して偽王でい続けていることでしょう。
しかしそれ以外にも理由があるとしながらも、張運(と我々蓬莱人)の疑問には答えてくれない。なんて思わせぶりなんでしょう、琅燦さん。
その理由は既刊にヒントがあった
張運がかわいそうなので私が代わりにお答えします。張運に届けこの想い。
この思わせぶりな「 理由 」は第三巻・第四巻で明らかになるのでしょうけども、実は既刊にもヒントがありました。
結論から申し上げれば、「 阿選は驍宗と同じ朴姓のため天命が次王に選ぶことはない 」です。
十二国記の登場人物って姓名ではなく氏字で呼ばれるのが通常。しかし、王や偽王らの姓名は各巻末に記載されています。
まず黄昏の岸 暁の天の巻末。
(前略)
丈阿選は禁軍右翼に在りて本姓は朴、名を高、兵を能くして幻術に通ず。非道を以て九州を蹂躙し、位を簒奪す。
(後略)
『戴史乍書』
小野不由美著 新潮文庫 完全版 十二国記 黄昏の岸 暁の天巻末より
阿選の姓名は朴高(ぼくこう)。
続いて風の海 迷宮の岸の巻末を見てみましょう。
(前略)
驍宗、本姓は朴、名は綜、呀嶺の人なり。
(後略)
『戴史乍書』
小野不由美著 新潮文庫 完全版 十二国記 風の海 迷宮の岸巻末より
驍宗は朴綜(ぼくそう)。
そう、驍宗も阿選も同じ朴姓なんです。
同じ姓であることには実は大きな意味があります。天が次王を選ぶ際に先王と同じ姓のものを選ぶことはないのです。逆にいえば姓にはこれくらいしか意味がないらしい。だから、姓名では名乗らず氏字で名乗るのが一般的になっているとか。
この辺りは陽子が王として大きく成長する物語、風の万里 黎明の空にて遠甫が語っています。
「陽子には珍しかろう。ーー血統などということを言う者もおらんな。陽子の言う血統に当たるのは同姓かの。婚姻すればどちらかがどちらかの籍に入る。本人たちの姓は変わらんが、戸籍がどちらかの許に統合されるのじゃ。子供は必ずその統合された戸籍にある姓を継ぐ。これには意義がある。天が天命を革めるにあたって、同姓のものが天命を受けることはないからじゃ」
「親が離縁したからといって、変わったりはせんし、自分が婚姻しても変わらんな。じゃから、人は固有の氏を持つ。姓にはそれだけの意味しかないからじゃ」
小野不由美著 新潮文庫 完全版 十二国記 風の万里 黎明の空 P.71より
つまり、同姓のものが続いて天命を受けて王になることはない。姓にはそれくらいの意味しかないのだから、これはまず遵守されると考えていいでしょう。実際これまで同姓が続けて王となった例はないと遠甫は語っています。
(そもそもなぜこのルールがあるのかは不思議。世襲制の偽王を防ぐため?)
なので、阿選が弑逆の偽王であったことを抜きにしても驍宗と同じ朴姓をもつ阿選が天命によって次王に選ばれることは本来あり得ないのことなのです。
琅燦がいう通常では阿選が天命を受けることはない「 理由 」とはこのことでしょう。
同性が天命を受けないことはあまり知られていない?
そもそも姓の意味を語ったのは天地の成り立ちに詳しい遠甫だけですし、白銀の墟 玄の月でその意味に気づいていたのは琅燦のみ。おそらくあまり知られていないことで、松塾の長で天地の成り立ちに詳しい遠甫とや博識な琅燦くらいでないと知らない事実なのでしょう。
そういう意味では、琅燦が張運に対してこの理由を伏せたこと自体、少なくともこの場面では泰麒の味方をしたと考えても良さそうです。
張運が知ったら「 では阿選が次王に選ばれる可能性自体が低いのだから、やはり泰麒の欺瞞ではないか 」と言い出すに決まっています。本当に天が取引を持ちかけているのだとしても、慣例にないことは張運ら官僚には受け入れがたいはずです。
その点、琅燦は少なくともこの場面では泰麒の味方をしたわけです。ただ、琅燦の性格を考えると泰麒の味方をしたのではなく、天の意向を知りたい自身の知的探究心から伏せただけのようにも思えますが。
思わせぶりは琅燦のほかにもう一人
どういうわけか泰麒の護衛の一人となった少女、耶利が「 主公 」を主と仰ぐ何者かもまた、白銀の墟 玄の月作中で阿選が次王ではあり得ない、としています。
「私と台輔の利害が衝突することはない。私は戴を救いたい。国を救い、民を救い、その頂点にある玉座に驍宗様にいていただきたい。ーー願うことは同じだ」
「台輔は阿選を王だと名指ししたのでは?」
「あり得ない。驍宗様が崩じる以前に次王が選ばれることはないし、もしも不幸にして驍宗様が崩じられたとしても、阿選が選ばれることはない」
小野不由美著 新潮文庫 完全版 十二国記 白銀の墟 玄の月第二巻より
ここでは阿選が謀反を起こした兇賊だから天命が下ることはない、としてはいますが、恐らくはこの者も姓について気づいていたのではないでしょうか。麒麟のことを知りながら欺瞞であると言い切るには、ある程度の見識は必要なはずです。
というか、この思わせぶりな耶利の主公=琅燦の可能性も高いように思えるんですよね。驍宗に様をつけ阿選を呼び捨す人物で、宮中にそれなりの影響力を持つ人物といえばいまのところ琅燦くらいしか思い浮かばない。あとはまだ登場していない臥信・正頼あたり。話変わるけど疑惑の霜元はどこへやら。
まとめ:阿選が「 天命 」を受け得ない理由
- 阿選の姓は驍宗と同じ朴。
- 同じ姓を持つものが続けて王に選ばれることはなく、実例もない。
- なので、謀反を起こしたことを抜きにしても阿選が驍宗の次に王として天命を受けることはあり得ない。
驍宗と阿選が同姓なことは結構前から指摘されていて、私も「 驍宗と阿選は生き別れの兄弟で、だから武人としても顔もなんとなく似ているし、隠された確執があって阿選は謀反を起こした 」なんて妄想したものです。
(いま思えば十二国世界では血縁で似たりはしないので顔が似てる云々は関係ないけれど)
泰麒の言と琅燦の解釈が本当なら、天は今回それこそ頭をかきむしるほど悩んで同姓が連続で天命を受けることを解禁した、ということなるのでしょうか。確かにそうでもしないと戴の現状は是正されそうにもないですから。
ただ、そうなると白銀の墟 玄の月 第二巻のラストで明かされたあの衝撃的な事実でまたいろいろひっくり返っちゃう。そもそもそれが本当なのか。なにか重要な前提からして隠されているように思えます。
にしても、なんて複雑に絡み合っていくんでしょう、十二国記の戴の物語は。正頼が黒幕なんてわかりやすい説なんか唱えてた自分が恥ずかしいほどです。
ディスカッション
コメント一覧
そこまで読み込んでおられるならご存じかとは思いますが、天命を受けた王は基本的に不老不死で、傷つけるには特殊な武器が必要で、かつ首を切断されるなどしないと、他人から殺されることはないはずですよね。
仙でもなんでもない単なる村人の毒薬で命を奪われることなどあるはずがなく、体調を崩したことも合わせて考えると、仙籍を削られた驍宗派の武人では。
>>そうじんさん
仰る通りで、回生の主公は別の武人が影武者を演じていた(否定するのが面倒になった?)だけで、驍宗ではない可能性が高いと思います。
なにより「 台輔 」って発言してる辺りが怪しい。驍宗なら蒿里って呼ぶはずです。李斎にはそこに気づいて絶望しないでほしいところですが……
あと、回生の主公は体調がよければ外にも出て動き回っていたそうですから、回生らの隠れ家と姉を亡くした悲劇の父娘が月に一度食料を流しこんでいた洞窟とは別でっぽい。ほかに隠れ家らしき要素がある以上、こちらが本命と思っていいでしょう。静之も回生の主公の異物をみて「でも驍宗とは言い切れないも?」って要素がたっぷりとまかれていますし。あと、どんな状況でも愛剣をなくすような驍宗ではないと思いたい。
ただ、ひとつだけ妄想にお付き合いください。
泰麒が角を失ったうえ病んでいたことや回生の主公が夏頃から体調を崩した辺り、
って筋道もあり得るように思えます。ただ、トドメとなったのが回生の言うように毒薬なのか、古傷が響いたりなのかはまだ考えが煮詰まりません。
まだ白銀の墟 玄の月は読み込みが足りないので、妄想するにも細かい表現も精査しないとです。妄想できるのも今のうちなのに、今度は続刊まで1か月しかないんで結構焦ってますです。
「阿選の姓名は朴名(ぼくこう)。」
となっています。
×名 ⚪︎高 の誤りだと思います。
>>ももさん
うおおなんて大事なところを間違えた。
ご指摘ありがとうございます!
早速直します。
素晴らしい考察を楽しませて頂きました。
瑕瑾ですが「この思わせぶりな耶利の手公」。
手公=主公 ですね。
ところで、なぜ墓を掘り返して確認しないのかと思い検索すると、
ちゃんと「仏教が伝わっている芳、雁、漣、奏では火葬」となっていました。
そこまで計算しての初期設定なのかと寒気がしましたが、
考えすぎかもしれません。
ただ、李斉から「主上は生きておられる」と聞いて、
ともに探し続けてきた静之が「老安」の事を忘れていた?のは不自然です。
後で「殺してくれ…」と言われてもね。
>>とえもさん
コメント&誤字指摘ありがとうございます! 自分じゃなかなか気づかないので本当に助かります。
確かに墓掘り返せよ!って思いますよね。ことがことなんだから確かめろよっていう。
「阿選が王ならどうする?」とか黄昏てる場合かよ。
そういえばTwitterで「髪は……黒だ!」って鋼の錬金術師みたいな展開予想してる方いらして笑っちゃいました。
>「仏教が伝わっている芳、雁、漣、奏では火葬」となっていました。
この設定、完全に忘れてました。ここに戴が入ってたら鳥肌ものでしたけど、戴は火葬しないってことでいいのかな。
やっぱり掘り返しなよ李斎……
>静之が「老安」の事を忘れていた?
これも本当にありますよね。静之も李斎もちょっとオツムが残念そうな描き方されてて……
牙門観が要塞っぽいって話しのときも気づいたのは去思で李斎は一切気づかなかったり、炉のことも「炕では?」とむしろ否定したり。
説明会話だから片方がバカを被るのはしょうがないにしても、これに関しては李斎お前が気づけよ将軍だろおおおって頭かきむしっちゃいました。
反対に去思・鄷都・喜溢ら一般人勢が優秀すぎて怖いです。少なくとも去思は白圭宮入りしそう。
Wikipediaからですが、
「仏教が伝わっている芳、雁、漣、奏では火葬だが、それ以外の国では土葬である。」
しかし、↑ここには「戴」が抜けているのに
「火葬だったらしかたがないよね。」という文脈でコメントしてしまいました。
(埋葬直後の墓を暴かないのには、きっと納得出来る理由があるよね?)
という気持ちで検索したので目にバイアスが掛かっていたものと思われます。
…、おはずかしい。
これからも楽しみに読ませて頂きます。
>>ともえ
いえいえ。
なんだか三巻になったらしれっと暴いて「違うじゃん!」で終わりそうな気がします。
一緒に楽しみに待ちましょう、三巻四巻!
1、2巻を読み終わって、こちらにたどり着きました。
考察、他の記事も含め、楽しく読ませていただきました。
阿選が新王になり得ない理由については、全く気づいていなかったのですっきりしました!ありがとうございます。
耶利の主公は、皆白の右腕だった人の私兵と紹介されていて、最初に読んだ時は額面通り受け止めてましたが…耶利の主が紛れ込ませるために仕込んだ偽の素性だったのですかね。
そう思うと、やはり琅燦が一番可能性高そうな気がしますね。やり方や耶利の性格、主公とのやり取りの様子をみる限り。
驍宗は亡くなっては居ない、と、信じてましたし、白雉も落ちて居ないので、恐らく生きているんでしょうけれども
2巻最後で…えぇ!?まさか!?と気持ちが揺さぶられました。回生が抜け出す最後のシーンを見て、まさかの回生が新王になるなんてオチがあるのでは?なんて妄想を一瞬してしまうほど…(笑)
続刊が楽しみですね!
読み終わった興奮のまま、だらだらと書き連ねてしまいました。脈略がなくすみません。
>>たまさん
コメントありがとうございます〜。私の妄想でお目汚し申し訳無いです。
白銀の墟 玄の月は出てくるのがおっさんと驍宗&泰麒ラブすぎる李斎ばかりでマスコット成分が足りないので、耶利の存在はかなり貴重ですよね。
皆白の右腕は嘉磬ですね。嘉磬が耶利を大僕として推挙した、とはされていましたが、多分嘉磬の上に立つ何者かが嘉磬伝いにねじ込んだんじゃないかと妄想しています。
新キャラの嘉磬が耶利の主人なのだとしたら、耶利とのやり取りのシーンでわざわざ正体を伏せて登場させる必要がないので。なんなら行方不明とされる皆白が実は嘉磬に匿われてて……な訳はないか?
ともかく、驍宗は生きている可能性の方が高いので、回生くんが逆上して驍宗刺したりしないで欲しいですね。わざわざ冬器の短剣って明記されてるので驍宗か泰麒あたりが刺されそうで本当に怖いです。
もしくは阿選は実は謀反人ではなくなんらかの理由で(驍宗のためにとか?)謀反人を演じてたいい人だったのに回生に刺されるとか。どっちにせよ悲劇しか思い浮かばない。
結構悶々としてるので、早く続刊きてほしいです本当に〜!
朴姓!そういえば遠甫ゆうてましたねぇ!
わー、スッキリです。
周りで語れる人がいないので、ムッチャ読ませて頂いてます。ありがとうございます!
ところで、あと2wしかありませんが、熊様には気が向けば阿選が何考えてるのか考察してもらえると嬉しいです!
他に黒幕がいるかもしれないですが、それにしても、阿選が鳩ぽっぽに頭ヤラれて、トチ狂ったとは思えないんですよね。
確実に阿選にはやらかしたことへの(彼にとっての)合理的な理由があると思う。まさか小野さんが、妖魔が原因で洗脳されました★で、話を終わらせるとは思えない!そして、そこの何故、が、10年前くらいからずーっと気になってます。個人的に。そしてこの話で一番面白いところじゃないかと思うんだ!!(熱く語る)
で、朴姓です。
最初にこのルール聞いた時、すっごい違和感だったんですよね。別に姓なんて王になる上の資格としてどーでもよくない?!って。
で、妄想ですが、実は王になるのって、阿選でも驍宗様でも良い、って天は思ってたんじゃないかな、とか。昇山の時点で。
で、阿選は自ら後に、って驍宗様を先に昇山させて、結果驍宗様が王になっちゃったんですよね。
しかもその後、もう阿選は王になれない。
阿選にそもそも王たる資格がなかったなら諦めつくでしょうが、たまたまの順番で王が決まって、その後もはや王になれない。
しかもそのルールが姓、とかいうわけわかんないルールで。人が作った法は改正できるけど、天が作った法は正せないんですよね。
阿選はなんらかの形でその事実を知り、絶望して、そこに異議を呈しているんだと思ってるんです。
天という見えないものに振り回され、それでいてそこから逃れられない虚しさを主張してるというか。
天が存在するなら過たないことはない、って陽子様がゆうたのを読んだ十年?前、ファンタジーなのに神さま疑っちゃう?!って衝撃でしたが、その伏線が今生きてるのですよね。きっと。
自分の人生を規定しているのに、それに関与出来ず、正すことが出来ない不気味さと理不尽さ…現代社会の政治に対する批判なの???!!!とか。
あまり読み込むタイプでないのでテキトー妄想ですが。熊様の考察聞けたら超楽しいです。
こんなゴタゴタ妄想できるのも、間が一ヶ月もあるからですね。
うーん、待ち遠しいけどでも楽しい…(幸せな顔)
>>あさみさん
>別に姓なんて王になる上の資格としてどーでもよくない?!
そうなんですよそうなんですよ~。子を設けること=血縁を天意で管理してるのに、同じ姓ってだけで王になれないって不条理な設定でずっとひっかかってたんですよね。
天なら一定以内の血縁ならわかりそうなものなのに。さすがにそこまで管理しきれないのでしょうか。
これ、尚隆とか陽子が延麒や景気を道連れに崩御したらあとがかわいそうです。胎果の王は姓すらわからないので、実は同姓で資格がないかもしれないのに命がけで昇山しないといけないんですよね。
ただ、同姓は次王になれないってことはあの世界でも遠輔とか琅燦みたいな博識な人でもないとしらないような事実だと見た記憶があるので、昇山者はあまり気にもしてないかもですけど。
>阿選はなんらかの形でその事実を知り、絶望して、そこに異議を呈しているんだと思ってるんです。
これありそうですね!
小野不由美先生は十二国記は初期の段階から「 最後は天に抗う物語になる 」と言ってたので、順当なら長編最後(?)と目される白銀の墟 玄の月ではそれが顕著に描かれるはずなんですよ。
泰麒なのか阿選なのか驍宗なのか、誰が天に抗う側なのかはまだはっきりしていませんけど、状況から考えれば阿選が一番可能性が高いですよね。
(泰麒も民のためなら天にも背きそうな勢いで、若干怪しいですけど)
あさみさんの言う通り、阿選は次王でもいいやって思ってたら琅燦に「 えっ、お前朴性だろ? 次王にはなれないよ? 」って言われて天へ反旗を翻した、みたいな。
で、琅燦は琅燦で天意システムを知れる貴重な機会だからアドバイザーとして阿選についた。
次々王じゃダメなの? って疑問は、単純に王になれるなれないよりも完璧でない天の不条理に怒ったのかなって。
もしくは、民や官吏に比べてもらって驍宗に勝ったと評されたかったのに、次王になれないんじゃと民に比較してもらえないからスネた、とか(寿命&崩御後の荒廃で死ぬから)。
黄昏の岸 暁の天で阿選が泰麒を斬ったとき角に当たったのは事故っぽいと思ってたんですけど、もっかい読み込んでみたらたまたま当たったのか狙って当たったのかボカしてる感じでもあるんですよね。
最初から弑逆のつもりはなく、狙って現状を作った可能性も高いと思います。
で、鳩は天意に逆らう武器として利用したつもりが自分も影響を受けちゃったか、そもそも鳩は阿選の思惑とは関係なく、王と麒麟不在によって護りの弱った白圭宮に棲みついた病とか。
阿選としては現状維持が最大限天に背くことなので、無気力は鳩関係なくただ「 なにもしない 」をしてるだけかも?
今朝『白銀の墟~』の2巻を読み終わりました。
自分はアニメから入った人間で、原作はポツポツとしか読んでないです。皆さまの考察が面白いので、思わず拙いながらに口を出させて頂きます。
先生が、初期段階から「天に抗う物語になる」とおっしゃっていたことが、阿選に関わっているのでは、とのことでしたが、自分はもしかしたら泰麒にも関わっていないか、と考えています。
というのも、泰麒は麒麟としてはその資格が無くなりかけている者です。人民のことを何よりも優先する、民に対する慈悲の心の要素はなんとなく保ったまま、麒麟とは言いきれない何かになっている。これは、事情は察しますが、そうはいっても官吏に対して切り捨てるような、麒麟らしからぬ発言をしたことから連想しました。
ならば、泰麒が政を執っても良いのではないか?または王がいない間も(緊急事態であろうがなかろうが)、王抜きで官吏の合議のもと、政治をおこなえば良いのでは?そして泰麒がリーダーとして纏めていけば良いのでは?と自分は思ったのです。
麒麟は、麒麟でなくなることがあるのでしょうか。また、麒麟でなくなった場合、王気を纏う(王の資格をもつ)ことがあるのでしょうか。もし、麒麟であるが故に自ら国を統治出来ないのであれば、泰麒はその定めを作った天帝を訴えることもあり得るのではないでしょうか。
解釈間違いがあればスミマセン…。
お邪魔しました…。
>>晃さん
お邪魔なんてとんでもない~。
大変申し訳ないのですが、すごく面白いコメントでしたので真面目に考えて長くなりました。ゆるくお付き合いください。
ややこしくなりそうなのでここでは泰麒のことは蒿里と書きます。
まず蒿里が天に抗う物語になる可能性も大いにあると思います。
阿選が天に抗っているのか、そうだとして蒿里が阿選と組むかは別にして、展開のひとつとして蒿里が天に抗う展開を予想している方多いと思います。実は私もその一人です。
黄昏の岸 暁の天の最後の方で、天への助力を提案した李斎に、蒿里は
「 自分で支えることができるものだけを我と呼べる 」
「 いつから戴は天の属国になったのです? 」
的な発言で却下しました。
この時点ですでに、泰麒は天に対して反抗心を抱いていたともとれます。
麒麟としての性質も失い、ほかの麒麟ではまずありえないほど蓬莱の倫理観に染まった泰麒なら、システムに対して不満を持っている可能性は否めません。
ある意味十二国世界で一番の不条理を与えられているのは麒麟ですし、そっちに憐憫が働くことも考えられますし。
>麒麟らしからぬ発言をしたことから連想
この辺を考察するのに一番の問題は蒿里が現在麒麟なのかただの人間なのかが不明な点なんですよね。
推測ですけども、麒麟としての性質が限りなく薄まっているだけで麒麟ではある、って状況かと思います。
西王母は「 病は祓おう。それ以上のことは、いまはならぬ 」と言っています。本当は角を治すこともできるけれど治していない風です。
いま治すと即失道するためなのか、昇山と同じく何かしらの試練を与えるためにあえて治さずに帰したのか、理由は不明ですが。
なので、今後の物語で死ぬようなことがなければいずれ麒麟としての力は戻ることになると思います。天としてもシステムを維持するならそれが一番でしょうから。
麒麟としての力は戻らずとも、扱いは泰麒のままでしょうね。ただ、その場合驍宗が斃れたあと新しい王を選べず寿命で長くて30年ほどしか生きられずに死にます。
そのあと新しい泰麒が生まれて新しい王を選んで……と正常化するので、天としては些細な問題です。
>泰麒が政を執っても良いのではないか?
まず、泰麒が通常の麒麟とは違い王に相応しい性格を得ているとしても、王の存在がないと国が荒れるので麒麟のままで国を治めていくのはシステム上無理があります。
民を想う蒿里があえて空白期間を作ろうとは考えないと思うので、これは考えにくいかと。
どちらにしても王のいない麒麟は30年ほどしか生きられないので、結局新しい泰麒が生まれて王が据えられるだけでしょう。
>また、麒麟でなくなった場合、王気を纏う(王の資格をもつ)ことがあるのでしょうか。
人間ではない蒿里が麒麟でなくなることができるかは別にして、もし麒麟を完全にやめることができたら王気をまとうことはできるかもしれません。
ただ、泰麒は生まれが戴じゃなくて蓬山なんですよね。確か戸籍も存在しないはずなので、王選の対象になっているかは怪しいです。
たしか黄昏の岸 暁の天で雁に戸籍を用意していたと思うので戸籍はいいにしても、その国の里木で成っていることが条件に入っていればアウトです。この辺はハッキリ明言されていたか記憶にありません。
図南の翼で珠昌が「 この中で供国生まれはお前だけ 」と言われるシーンがあるので、このセリフだけ考えればその国で生まれている必要がありそうです。ただ、これが本当に正しい理解に基づいて発せられたかは不明です。
いずれにしても、蒿里が天に直訴して認めれればオッケーって話しではあります。
ただ、変にオッケーを出すと前例になっちゃって、心のない王が麒麟の角を斬るブームが始まりかねません。
逆に、天側が今回の件を踏まえてなにかしら手を打たないと、簒奪者が麒麟の角を斬るブームも起こりかねません。
そういう意味では本当に天は頭を抱えてるんじゃないかと。なにしてくれとんじゃ阿選、ってブチギレていそうです。
すみません、長くなっておいてなんですが、特にこれといった結論は出ません。シュークリーム分が足りずこれ以上は頭が働きません。
私はしょせん小野不由美先生の手のひらで踊らされるいち蓬莱人、これが限界です……
個人的には、今回のコメントを受けて蒿里が自分自身に王気を見いだし、自ら泰王に選ぶ展開は面白いな、と感じました。
天への精いっぱいの抗議として天が望むような王は立てず、それでも戴を守るための手段としてはありかなと思います。
本来麒麟は性格的に王には向かないので選ばれないけど、いまや蒿里はとても麒麟とは言えない性格なので王気はあり得ると思います。
蒿里は泰麒であり泰王として誰より長く孤独に国を治めたとさ、みたいな。ただのおセンチな妄想ですけども。
シュークリーム分の足りないクマさんへ
はい、シュークリーム!(^^)
………
なるほど、やはり天帝の作った理によって、蒿里が麒麟のまま王になるのは、今のままでは妨げられるのですね。なんとか天帝に抗議の声が届いて聞き届けられたら、泰麒 兼 泰王になることもあり得ると。阿選が麒麟の角を切ったことが因習となってこの先も起こり続けると困るので、可能性は限りなく低いですが、ということですね?
おっしゃる通りだと思います。或いは、天帝への抗議が一部だけ聞き入れられて、一国には王と麒麟が一人と一匹ずつ居なくてはならない、という制度を絶対に天帝は変える気がない。だから、蒿里から麒麟の資格を剥奪して、王の資格を与える。そして、新しい麒麟を生んで二人で統治させた…ってことも考えました。
ま、ネットに出ている3巻と4巻のあらすじを見る限り、自分が想像したことは起こりそうにないですが(笑)
考え過ぎかもしれません!自分も糖分が欲しくなってきましたよ!!
あと、1週間程度で答えが分かりますね!
シュークリームありがとうございます!
十二国世界に飛びこみたい憧れはあるのですが、どう考えてもあちらにはシュークリームがないのが考え物です。
>阿選が麒麟の角を切ったことが因習となってこの先も起こり続けると困る
そうなんですよ。これ、天としては本気で困ってると思うんですよね。
泰麒のことが広まったら、塙王みたいにヤケ起こした王がダメ元で試すなんて事件が起こると思うんです。
いまのところ知ってるのは泰麒捜索に加わった心ある王だけではありますけど、人間最後になにやらかすかわかりませんし。
あと三日です!
コメント返しが遅くなって申し訳ない!
読むとき用に、そろそろちょっとお高いシュークリーム見繕っておかなきゃ。
楽俊もしってますよ。
自分が巧の王にはなれないと陽子にいっています。
大学入る前のネズミさんも勤勉ですがちょっと事情通すぎ(笑)
>>まるさん
おお、情報ありがとうございます!
ネズミさん知能お化けですね。
楽俊、大学卒業可否と進路(慶か延かはたまた巧か)描いてほしいですね~。
有能には違いないので、大学卒業できなくてもどこかの官吏にはなるでしょうけど。
あとは「文張」として小説家になって陽子たちの物語をつむぐ、なんていうのもいいな、なんて。
案外松塾とかの教師になったりしそうな気もしますけれど。
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