羽川翼と阿良々木暦が付き合わなかった理由【物語シリーズ】

2024年2月12日

物語シリーズのすべてのはじまりともいえる傷物語ですが、作品の順番が時系列通りではなく前後する構成上、アニメでは最終盤に語られます。

そのなかで阿良々木暦と羽川翼は出会い、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード事件のときに2人の間にどんなことがあったかが明かされるわけですが……

おまえらそこまでいっといて付き合わなかったの!? 」と、傷物語を観て多くの方が感じたはずです。

この件から羽川翼が得るべき教訓は、好きとはハッキリ言うべきだということだ。

あと机は消毒した方がいい。

猫物語(黒) / つばさファミリーでのすれ違い

いうまでもなく阿良々木暦は羽川翼が本気で好きだし、羽川翼も阿良々木暦のことが好き

好きと言えないくらいに大好きな相思相愛だった羽川翼と阿良々木暦が付き合わずに終わった理由は、異常なまでに正しい羽川翼と朴念仁の阿良々木暦が引き起こしたすれ違いが原因。あと一歩噛み合っていれば、阿良々木暦は真の意味で羽川翼を救い、恋人同士になれていたかもしれません。

決定的だったのが、障り猫=ブラック羽川が初めて出現したゴールデンウィークを描いた猫物語(黒) / つばさファミリーの劇中。

誰もいない教室で羽川翼の机(の胸が当たる部分)をなめてたド変態吸血鬼高校生 阿良々木暦が、いつの間にか現れた障り猫と問答するシーン。

ここで阿良々木暦は障り猫に「 ご主人様(羽川)に関わるな 」「 幸せに暮らせ 」と拒絶されます

実のところ怪異の正体は障り猫ではなく、羽川自身が障り猫を取り込んで融合したブラック羽川です。少なくとも半分は羽川翼自身の意志で行動していました。

そのことは阿良々木暦も看破しています。つまり、阿良々木暦は羽川翼自身に「 私に関わろうとせず幸せに暮らせ 」と拒絶されたことに。

そして悲劇的なことに、阿良々木暦はよりによってこの瞬間に羽川翼への恋心を自覚してしまいました。

ダメだ。僕はやっぱり羽川のことが好きだ。好きすぎて、とてもじゃねえけど触れねえ。あいつが好きだ。

好きかなって思って、好きだなって感じて、好きだなってわかる。だけど月火ちゃんの言うとおりだ。

あいつのことがたまらなく好きだけれど、でも、この気持ちは恋じゃないな。もうとっくに恋を超えていた。

一生一緒にいたいどころか、だって僕は、羽川のために死にたいって思ってるんだもん。

アニメ猫物語(黒)より ©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

……そんなに美味しかったのか、羽川の(胸があたる)机。

羽川を神聖視し過ぎな朴念仁の阿良々木暦

ブラック羽川の「 関わるな 」は、羽川翼の病的なまでの正しさがみせた強がりです。そもそも苦しいからこそ怪異まで取り込んでブラック羽川になったのが猫物語(黒)の肝要。

それほど追い詰められた羽川翼が、大好きな阿良々木暦に救われたくないワケがない

たらればですが、のちに忍野メメによって提案される「 阿良々木暦が羽川翼と結婚し、家族になる 」救いの道が提示されたなら、羽川翼も阿良々木暦へ想いを吐き出し救いの手をとっていたかもしれません。

しかし阿良々木暦は羽川翼が強がっているとは微塵も思いませんでした。「 すべてにおいて正しい羽川翼が強がりで本音ではない言葉を言う 」なんて、まだ付き合いが浅く羽川翼を神聖視しまくっていた阿良々木暦からすれば吸血鬼が鏡に映るくらいありえないこと。

それでブラック羽川の拒否は本音で、彼女は本当に救いなんて求めていないと思い込んだのです。

さらにいえばこの男、なんでも言葉を額面通りに受け取ってしまうきらいがあります。もはや善人通り越してバカレベル。

例えば老倉育の例。羽川翼と同じく親との関係に問題があっなハマチこと老倉育ちゃんですけど、彼女もまた言外に阿良々木暦へ助けを求めた一人。

ただ、「 自分の正体は訊くな 」との言葉を真に受け、彼女のことを一切知ろうともしませんでした。持って回ったやり方をした老倉育にも非はあれど、その後の顛末を知ると同情を禁じ得ない。

しかし数学は得意でも国語はダメかよ阿良々木くん。老倉育が阿良々木くんに教えたのが数学じゃなくて文学だったらもしかしたら違う展開があったかもですが……

おい阿良々木、老倉育の気持ちを15字以内で答えよ。

猫物語(黒)の結末はある意味バッドエンド

猫物語(黒)の終盤、再びブラック羽川と対峙した阿良々木はこう言い放ちます。

僕はお前に絶対に同情しないぞ。猫を理由にするな。怪異を口実にするな。不幸をバネに成長するな。そんなことをしても結局、自分で自分を引っ掻いてるようなもんじゃねえか。

怪異なんて本当はいないんだぜ。それこそウソだ。

それでもストレスを発散したいって言うなら、僕が全部引き受けてやるよ。

お前の胸をいつだって触りまくってやるし、下着姿のどこだって見てやる。だからそれで我慢しとけ。

いくらでも時間を作るよ。友達だからな。

アニメ猫物語(黒)より ©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

このセリフ自体はブラック羽川への挑発です。

このとき、阿良々木暦はまだ和解していない忍に土下座までして妖刀心渡を貸してもらって罠をはっていました。ブラック羽川が阿良々木暦を攻撃してくれれば、羽川翼から怪異部分だけをはがせる作戦です。

一方、これは阿良々木暦が大好きな女性=羽川翼からすれば最低の言葉です。

阿良々木暦は羽川翼のヒーローになれる絶好のチャンスで「 友達だから 」と線を引いてしまったのです。

さらには「 本当は羽川のことが大嫌い 」とまで言う。これでは羽川翼を救うどころかむしろ逆効果です。家庭環境はめちゃくちゃなうえ、大好きな阿良々木暦には嫌いとまで言われたのだから。

結果的には

挑発にのったブラック羽川は心渡の罠にハマるも、阿良々木暦の期待した通りには機能せずむしろ羽川翼のピンチを招きます。

結果的には忍の気まぐれに救われ事件自体は幕を引くものの、羽川翼は障り猫事件の記憶を失います。

残念ながら、2人の恋心にとってはバッドエンドです。

忍野メメにより提示されたハッピーエンド案

白々しいまでに白い天使、羽川翼

事件のあと、忍野メメは今後も家庭環境のストレスを抱えるであろう羽川翼を救う根本的な方策として阿良々木暦が羽川翼と結婚し家族になることを提案します。

しかし阿良々木暦はこれを「 そこに気持ちがないから 」と却下。いやあるだろこの朴念仁が。

阿良々木暦の恋心を(おそらく羽川翼の恋心をも)見抜いていた忍野メメは、「 僕はてっきり、阿良々木くんは委員長ちゃんに恋しちゃってるんじゃないかと思ってたけれど 」と食らいつきます。

が、阿良々木暦はこれも否定。

「僕は羽川に恋しちゃいねえよ」

「それに、羽川は助けなんか求めてないしな。僕に求めてくれちゃったらよかったのに。羽川が頼ってくれたら、僕は何でもしたのに」

アニメ猫物語(黒)より ©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

いやいや恋しちゃってるだろ朴念仁。助け求めてるだろ朴念仁。

じゃあなにかおまえ、好きでもない女の子の机なめたのかド変態

結局、阿良々木暦はブラック羽川に「 関わるな 」と言われた表面だけをみて、ハッピーエンドをもたらせたであろう忍野メメの最適案を却下してしまったのです。

「案外求めてたのかもしれないけどね。助けてって言わなきゃ、助けを求めてないことにはならないわけでもないだろ。好きって言わなきゃ、好きってことにならないわけでもないように」

アニメ猫物語(黒)より ©西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト

さすが忍野メメ、いいことを言う。スピードワゴンもビックリのクールさだわ。専門家としてはダメダメだったけど年長者としては面目躍如といったところ。

あとでこうなっちゃいますからね。結局アロハが正しかった。

しかし忍野メメによるよき友人としてのアドバイスは、傷心に浸る阿良々木暦には響きませんでした。羽川翼のヒーローになり損ねた阿良々木暦は、羽川翼のために唯一できることとして、これまで通り友人として過ごす道を選びます。

羽川に拒絶されたと思い込んだラララギ暦は「 僕は羽川に恋しちゃいねえよ 」(そういうことにしておこう、それが一番幸せだ)と、自分の恋心をなかったことにして。

そして彼は階段を登ります。あとはご存じの通り、体重を奪われた少女と出会い、新たな恋と物語をはじめてしまうのです。

猫物語(白)つばさタイガーでは羽川翼のヒーローになるくせして。

それでも彼氏にも家族にもなってはくれなかったけれど。

まとめ:物語シリーズの羽川翼と阿良々木暦が付き合わなかった理由

要は羽川翼が異常なまでに正しすぎ、阿良々木暦が朴念仁すぎたためにすれ違ってために付き合わずに終わったってこと。

もう一度言おう。

この件から羽川翼が得るべき教訓は、好きとはハッキリ言うべきだということだ。

あと机は消毒した方がいい。