DIOが使ったハーミットパープルの謎【なまっちょろいぞ!】

2023年1月27日

時を止める能力のザ・ワールドをスタンドに持つDIO。

同じ能力のスタープラチナに敗れ、のちに登場するゴールデンエクスペリエンス・レクイエムなどインフレのために相対的な評価は下がったものの、最強クラスのスタンドには違いありません。

しかし本編中、たったワンシーンながらDIOが明らかにザ・ワールドとは違うスタンド、それもジョセフのハーミットパープルを使うコマが存在しています。

スタンドは1人に一体ルールはこんなに序盤からガバガバだった……???

DIO様があのなまっちょろいスタンドを?

思いっきりハーミットパープルを使ったDIO(ジョジョの奇妙な冒険JC13巻より)

ジョジョの奇妙な冒険 コミック13巻より ©荒木飛呂彦/集英社。

ジョジョカスいばら見えてんz……えっこれDIO様?

問題のシーンはジャンプコミックス版13巻。

3部もまだ序盤、植物状のスタンドを発現し寝込んだホリィを救うため、承太郎&ジョセフ一行が行くぞ!(バーン)ってしてるシーンのすぐあと。

まだ顔も見せていないDIOが、ポラロイドカメラを使って承太郎とジョセフの姿を念写しています。

このいばらは見まごうことなきハーミットパープル。カメラを使った念写能力も間違いなくハーミットパープルそのものです。

いやいやぁ、DIO様がそんななまっちょろいスタンド使うワケないじゃん。

ジョセフの手だよコレ、と思いたい。

ジョセフのハーミットパープルで念写するDIO(ジョジョの奇妙な冒険JC13巻より)

ジョジョの奇妙な冒険 コミック13巻より ©荒木飛呂彦/集英社。

どうみてもDIO様でした。

残念、DIO様でした!(バァーンッッ!!)

なまっちょろいぞ!なんて酷評するくせにしっかりハーミットパープル使っちゃうDIO様

(DIO様自身、能力の強い弱いにはさほどこだわりがなかったとも思えるけど)

公式設定では「 ジョナサンのスタンド 」

第一部でジョセフのボディ(肉体)を手に入れると宣言するディオ(ジョジョの奇妙な冒険JC5巻より)

ジョジョの奇妙な冒険 コミック5巻より ©荒木飛呂彦/集英社。

普段は静かなる男!の195cmボディ(肉体)だったら誰だって欲しいよねそりゃ。

実はDIOが使ったハーミットパープルはジョジョ1部の主人公ジョナサン・ジョースターのスタンドです。

これは2000年発売のJOJO A-GO!GO!で公式設定として記されています。

3部で登場するDIOは1部の終盤に首だけになったディオが死んだジョナサンのボディ(肉体)を乗っ取ったもの。

それでDIOはディオ本来のスタンド ザ・ワールドとジョナサンの身体・血筋が持つハーミットパープル、二種類のスタンドが使えたのです。

合わせて1人になってはいますが、実態としては2人分の肉体なので、スタンド能力が2つあったってわけ。

ちなみにジョジョの小説OVER HEAVENではエンヤ婆がDIOの念写スタンドをハーミットパープルと名付けており、逆に「 ジョセフがDIOと似たスタンドを持っている 」と逆側の視点から語っています。

敵でも同じ能力に同じ命名をするって偶然、なかなか面白いですね。3部のスタンド能力は基本的にタレットカードをモチーフにしているので必然だったかもしれませんが。

ジョセフの娘ホリィもイバラではないもののツタ植物状(?)のスタンドを発現したり、ジョセフのひ孫にあたる徐倫が糸のスタンドを発現するなど、ジョースター家には植物や紐状のスタンドが発現しやすい傾向があるのかも。

もちろん、ジョセフの孫である3部主人公 承太郎のスタープラチナと息子の4部主人公 仗助のスタンドは全然違うので、たまたまかもですけれど。

もしくは、DIOのザ・ワールドもジョナサンの肉体を通じてジョースター家 血統の影響を受けたスタンドなのかもしれません。

それなら承太郎のスタープラチナとも能力が被ったのも不思議はありませんね。

余談ですが、承太郎らが旅立つきっかけとなったホリィにの植物状のスタンドは公式設定では癒しの能力だったとのこと。

癒しの能力が原因で命を落としかけるとはなんとも皮肉。

DIOは全てのスタンドを使える設定だった?

特にネット上でよく言われるのが「 DIOのザ・ワールドはすべてのスタンド能力を使える予定だった 」説。

その根拠が連載初期にはDIOのスタンドがザ・ワールドではなく「 世界21(ワールド21) 」と呼ばれた点。

3部のスタンドは基本的に22枚の大アルカナタロットカードがモチーフになっています。

(ンドゥールらエジプト9栄神モチーフのスタンド使いは22枚では足りなくなったっためあとから追加された感ある)

で、ワールド21にある21がほか21人全員のスタンド能力を使えることを表している、という説です。

私自身もこの説は好きで、本当に連載当初はその予定だったのではないかと思うこともあります。ただし、実際のところ公式ではそういった言及はなく具体的な根拠がありません。

当初ザ・ワールドがワールド21だったのも単純に世界(ワールド)のカードが大アルカナタロットカードのなかで21番のカードだったからと考えられます。

(愚者 THE FOOLが0番なので、21の世界 THE WORLDが最後、22枚目のカード)

現在では先述の通りJOJO A-GO!GO!にて触れられた「 DIOのハーミットパープルはジョナサンの肉体が発現したスタンド 」が公式設定となっています。

DIOがハーミットパープルを使わなくなった理由?

コミックス版のジョジョ3部作中、DIOがハーミットパープルを使ったのは本当に序盤の一度だけ。そのあとは一切登場しません。

それもあって「 DIOは全てのスタンド能力を使える予定だったが、のちに時止め能力に変更された 」説がにわかに説得力を持ちました。

しかし、単純にDIOが作中ハーミットパープルをそう何度も使う必要はなかっただけと考えられます。

ジョセフは波紋の併用と持ち前の機転で使いこなしていましたが、もともとハーミットパープルは戦闘能力は低いスタンドです。

パワーも能力も最強クラスのスタンド ザ・ワールドを持つDIO様が、そもそもあんななまっちょろいスタンドを使う必要がないのです。

もしかしたらときおり念写能力は使っていたのかもしれませんが、その辺はあえて描写する必要もありませんね。

とはいえ、作中でもDIO様自身がジョセフに念写されたことに気づいていたので、ジョセフに念写を察知されるリスクを考え、使わなかったことも考えられます。

世界各地に配下を潜らせているDIO様なら、ハーミットパープルの念写なしでもある程度は承太郎らの動向を探ることはできたでしょうし。

まとめ:DIOが使っていたハーミットパープルの謎

  • DIOが使ったハーミットパープルはジョナサンの肉体が発現したスタンド能力。
  • 3部に登場するDIOは1部で首だけになったディオがジョナサンの死体の首から下をのっとった状態なので、ジョナサンが発現するはずだったハーミットパープルも使えた。
  • 当初はDIOがすべてのスタンド能力を使える設定だった説もあるが、根拠が乏しく公式設定ではない。

この件に関していえば、DIO様のハーミットパープルはジョナサンの肉体由来のスタンド能力、で話が通りましたけど、実際設定上いろいろガバガバなところもあるっちゃあるんですよ。

ただ、ジョジョの魅力は迫力あふれる絵と魅力的なキャラクター、そして緊迫感あるストーリー展開。細かいことは抜きに素直に楽しみたいですね。

最後に荒木先生の金言を。

「 おとなはウソつきではないのです。まちがいをするだけなのです…… 」