【十二国記】新潮文庫 完全版と講談社X文庫ホワイトハート版の違い(講談社文庫も)
18年ぶりの長編新作に盛り上がる十二国記シリーズ。改めて読み直す方だけでなく、これから読みはじめようって方も多いかと思います。
ただ、十二国記シリーズって巻数が多いうえに講談社版と新潮社版が存在したり講談社版も二種類あったり。
どれを買うのが正解かわからないアナタのために、新潮文庫 完全版と講談社X文庫ホワイトハート版の違いを解説。X文庫ホワイトハート版(通称WH版)だけでなく、講談社文庫版も含めて奏上申し上げます。
特にネタバレはないので、これから読もうと考えてる方もお気軽にどうぞ。大丈夫、ファ〇通の攻略本だよ!
これから読むなら新潮文庫 完全版で
- 十二国記シリーズを読み始めるなら新潮文庫 完全版がオススメ。
- どのバージョンでも挿絵と表紙以外、内容自体はほぼ同じ。
- ただし、新潮文庫 完全版でしか刊行されていない巻がある。
- また、講談社X文庫ホワイトハート版と講談社文庫版はすべて絶版になっている。
まず、結論から申し上げれば、これから十二国記シリーズを読み始めるなら新潮文庫 完全版で。
ただ、出版社の違いがあっても同タイトルであれば言い回しや表現に手が加えられた程度で、内容・ストーリーには変更はありません。実質表紙と挿絵が変わっただけのようなものなので、昔の既刊をお持ちの分があるならあえて新潮文庫 完全版で揃え直さなくても大丈夫です。
なのでいずれにしてもこの二巻は新潮文庫 完全版で読む必要がありますし、今後も新刊が出るときは新潮文庫 完全版から出るはずです。
あと、地味にEpisode0 魔性の子もホワイトハート版・講談社文庫版で出ていません。魔性の子はちょっとややこしいので後述します。
完全版な新潮文庫、原点たる原典ホワイトハート版
十二国記シリーズは全部で3レーベルから出版され、3バージョン存在します。
- 新潮文庫 完全版:現在販売中の十二国記で、新作あり。
- 講談社X文庫ホワイトハート版:十二国記の原点。通称WH版。
- 講談社文庫版:表紙・挿絵なしの小説版。
ややこしいことに出版社の違う講談社版と新潮社版が存在するのは、もともと講談社から刊行された十二国記シリーズが出版社を新潮社に移籍し、完全版として新装版を発売したため。
先述の通り、表紙絵と挿絵以外は既刊の内容自体はほぼ同じ。
なのですでに講談社X文庫ホワイトハート版や講談社文庫版をお持ちの方や図書館などで借りてお読みになるのであれば、新潮文庫 完全版で同じ作品を読み直す必要はありません。
ただ、現行として販売されているのは新潮文庫 完全版のみです。唯一新品で手に入りますし、2012年7月の新装版発売以降に刊行された新作 丕諸の鳥や白銀の墟 玄の月などは 新潮文庫からしか発売されていません。
2020年発売の短編集など、今後新しく発表される作品も新潮文庫からのみ発売されます。
既刊の出版社・レーベル別刊行リストは下記。
刊行リスト
タイトル | 新潮文庫 完全版 | ホワイトハート版 | 講談社文庫版 |
---|---|---|---|
Episode0 魔性の子 |
〇(旧版有) | – | – |
Episode1 月の影 影の海 |
上下 | 上下 | 上下 |
Episode2 風の海 迷宮の岸 |
〇 | 上下 | 〇 |
Episode3 東の海神 西の滄海 |
〇 | 〇 | 〇 |
Episode4 風の万里 黎明の空 |
上下 | 上下 | 上下 |
Episode5 丕諸の鳥 |
〇 | – | – |
Episode6 図南の翼 |
〇 | 〇 | 〇 |
Episode7 華胥の幽夢 |
〇 | 〇 | 〇 |
Episode8 黄昏の岸 暁の天 |
〇 | 上下 | 〇 |
Episode9 白銀の墟 玄の月 |
全四巻 | – | – |
ちなみにEpisode〇といった表記は新潮文庫 完全版のみ。ホワイトハート版と講談社文庫版にはそうした表記はありません。
あと、ホワイトハート版では上下巻に分かれているエピソードのうち一部が講談社文庫・新潮文庫 完全版では一巻にまとめられています。
ややこしい理由と十二国記の歴史
もともと十二国記は講談社X文庫ホワイトハートから刊行された作品です。X文庫ホワイトハートは講談社のライトノベル系レーベル。これがいわゆるWH版です。
その後、当初のターゲットだったティーン以外の層にも人気を博したため、大人でも手にしやすいよう表紙絵と挿絵を省いた小説版として講談社文庫版がホワイトハート版とともに刊行されるように。
最終的に講談社からの刊行が終わり、2012年7月から表紙や挿絵を刷新した新装版として新潮文庫 完全版が刊行されるようになった流れです。
Epidode0 魔性の子だけは扱いが少し特殊
Episode0にあたる魔性の子だけは事情がちょっと特殊です。
十二国記シリーズが講談社から新潮社へ移籍され、完全版としてまとめられたのは先述の通りですが、魔性の子だけはホワイトハート版も講談社文庫版も存在していません。
実は魔性の子だけもともと新潮文庫から出版されており、十二国記本編の第一巻にあたる月の影 影の海より1年早く出版された作品です。
流れを整理すると、新潮文庫から魔性の子が発売。一年後、講談社X文庫ホワイトハートレーベルから月の影 影の海が発売され、のちに十二国記シリーズと呼ばれる作品群がつぎつぎと発表されていきます。
魔性の子は独立小説作品として刊行されたうえ月の影 影の海らとは出版社も違っていたため、形式上は十二国記シリーズではないものとして扱われていました。
しかしどちらも作者は小野不由美さんで同じだし、世界観も共有されており、ファンや読者の間では少なくとも隠れ十二国記とか外伝的な位置づけをされていました。
(といってもホワイトハート版の月の影 影の海のあとがきに「 魔性の子の続編 」と書かれており、全然隠れていなかったのですが)
それが2012年7月に十二国記シリーズが完全版として新潮文庫から発売される際に、魔性の子もEpisode0として組み込まれ、正式に十二国記シリーズとして新装版が発売されました。
これでようやく、魔性の子も独立した小説扱いではなく、十二国記シリーズの一員として扱われるようになったのです。
そういった事情で、魔性の子はホワイトハート版も講談社文庫も版存在しません。その代わり十二国記 完全版になる前の新潮文庫版は存在します。あえて旧版を手に入れたい方は注意。
挿絵と表紙が変わってはいるけれど
新装版となる新潮文庫 完全版もホワイトハート版と同様に挿絵つきです。
といっても表紙も挿絵すべて描きおろしの新規絵。描いたのはホワイトハート版に引き続き山田章博さんで、新しい装丁に華を添えています。
ただ、原典たるホワイトハート版の表紙や絵が気になる方もいらっしゃるかもしれません。そういった方には画集 久遠の庭がオススメ。
ホワイトハート版の表紙&挿絵がまとめられているので、中古で講談社X文庫ホワイトハート版を探し求めなくても挿絵&表紙の違いを楽しめます。あとゲーム版十二国記のジャケットとかも収められていたり。マニアック。
逆に新装版である新潮文庫 完全版の表紙&挿絵は画集の第二集 青陽の曲でまとめられる予定ですが、現状では発売時期が未定。
2020年発売予定の短編集で一区切りがつくので、そのタイミングでカレンダーなどで描きおろされた絵も含めて発売するものと推測中。
まとめ:十二国記 新潮文庫 完全版と講談社X文庫ホワイトハート版の違い
- これから十二国記シリーズを読み始めるなら新潮文庫 完全版がオススメ。
- どのバージョンでも挿絵と表紙以外、内容自体はほぼ同じ。
- ただし、新潮文庫 完全版でしか刊行されていない巻がある。
- また、講談社X文庫ホワイトハート版と講談社文庫版はすべて絶版になっている。
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