琅燦は白銀の墟 玄の月でなにがしたかったのか【十二国記 考察】
長きに渡った戴の物語が終結をみせる白銀の墟 玄の月。待ちに待ったことを除いてもたくさんの想いが去来する素晴らしい作品でした。
なかで強く引っかかったのが、作品中における琅燦の立ち位置です。
平たくいえば、琅燦は味方なのか敵なのか。乱暴な言い方、結局琅燦はなにがしたかったの?
今回はその辺の考察をば。
白銀の墟 玄の月を第一巻〜第四巻まで全巻読んでいることを前提にしています。
ネタバレを含むので、ネタバレ回避な方は白銀の墟 玄の月を完全読破していらっしゃらない方はお避けください。
結局、琅燦はなにがしたかったのか
阿選に妖魔まで提供し謀反を起こさせながら、泰麒を助けたり謎多き琅燦の行動。耶利の主公として語った「 私と台輔の利害は一致する 」に、私のなかの英章がどの口が言ってんだとお怒りです。
ただ、私は琅燦の行動はある程度好意的にとらえています(擁護できない面もかなり多いですが)。
結論からいえば、琅燦は天意を確かめたい自分の欲望と驍宗への忠義の両立を目指したのではないか、と考察します。
可能な限り驍宗の命を担保すべく立ち回りながら、天意を試したい自身の欲望を優先した。
琅燦の謀反参加は驍宗のためになる
そもそも、琅燦が阿選を唆して謀反を起こさせたこと自体が驍宗のためになる一面があります。
もし阿選が琅燦抜きで謀反を起こしたら驍宗はあっさり弑逆されていました。泰麒の角を斬れたのですから、角を斬って封じる発想がなければ首を斬って驍宗は崩御します。
琅燦が謀反に参画したことで驍宗の命は担保されたのです。
唆されずともいずれ……
阿選が謀反を起こした直接的なきっかけは、琅燦に次王になれない事実を聞かされたこと。しかし琅燦が唆さずとも遅かれ早かれ阿選は謀反を起こしたと考えられます。
大学出身で禁軍将軍とエリート街道まっしぐらの阿選のこと、王選に興味があるんだから琅燦が言わずともいずれ自身が次王になれないことは知った可能性は高い。そうでなくても、阿選が驍宗はすぐ斃れると踏んでいるなか、長くいい施政を敷いたらどんな行動を起こしたか。考えるまでもありません。
その点、琅燦の入れ知恵した「 驍宗と泰麒は殺さず天意の履行を凍結させる 」アイデアは驍宗の命を守る手立てとして有効でした。
また、琅燦が阿選側についておくことで、のちのち驍宗のために動くこともできます。ある意味、謀反で阿選側についたこと自体が「 驍宗を尊敬する琅燦 」としての雌伏だったといえます。
実際、白銀の墟 玄の月作中で語られた蒿里の欺瞞を援護したことも耶利を泰麒につけられたことも、琅燦が阿選側にいたからこそ可能なことでした。
阿選に謀反を唆し、助け、天意を試した
もちろん琅燦の行動すべてが驍宗のためだったとするのはいろいろと無理があります。そこには間違いなく琅燦のエゴがありました。
琅燦がなにを望んでいたかは白銀の墟 玄の月作中で本人が語っています。以下抜粋。
「台輔をあんたたちのように尊んでいないのは確かだろうね。そしてそれは王も同じ。驍宗様は敬うけれど、王だの麒麟だのはどうでもいい」
言ってから、もう一度小首をかしげた。
「どうでもいい――は違うか。興味は持っている。世の摂理として」
「摂理?」
「驍宗様は尊敬しているが、興味には勝てない。私はこの世界と王の関係に興味があるんだ。何が起こればどうなるのか、それを知りたい」
理解できずに阿選がただ見返していると、琅燦は自分に納得するように頷いた。
「王と麒麟をめぐる摂理に興味があるが、誰も答えは教えてくれないからね。知るためには試してみるしかないんだ」
小野不由美著 新潮文庫 完全版 十二国記 白銀の墟 玄の月 第三巻より。
天の摂理や天意に興味はあって驍宗だけ敬っているけれど、国・王・麒麟そのものはどうでもいい。
私はこの会話に琅燦の全てが込められているといっても過言ではないと考えています。
琅燦が阿選を唆し、天意の履行を停止させる方向で謀反を起こさせれば、驍宗の命の安全は確保しながら天意を試せる。逆に放っておけば阿選の謀反で驍宗は死ぬかもしれないし、次に天意を試せる機会がいつになるともしれない。
阿選のコンプレックスと反意に気づいた時点で、琅燦が謀反を起こすよう唆さない理由がないのです。
琅燦には国に対するモラルがない
いくら驍宗のためとはいえ、普通なら泰麒の角を斬る前提の計画は立てられません。蓬莱人からみてもあまりに畏れ多い。しかし琅燦は黄海出身の黄朱の民です。どの国にも帰属しません。
犬狼真君や黄海にある黄朱の里木に対してなら思うところもあるでしょう。しかし十二国の埒外に生きる彼らに、国のシステムに対する義理は全くありません。
権がなければ責もないとは李斎の言葉。琅燦は国官だったんだから責もあってしかるべきですけど、実際琅燦が抱いていたのは驍宗への尊敬の念と天の摂理への興味だけ。琅燦は責任よりも自分のエゴを貫き通したといえます。
その驍宗の命を担保でき、なおかつ自分の興味をそそる題材が目の前にある。なら、阿選に麒麟の角を斬らせるのに躊躇する理由はない。
琅燦にとっての泰麒は黄昏の岸 暁の天から一貫して「 とんでもない化物 」として、興味の対象としていることもわかっていますし。極端な話、琅燦や耶利ら黄朱の民にとって、神獣 麒麟も少し特殊な獣程度の認識でしかないようにも感じられます。
阿選が勢いあまって泰麒を殺してしまい、驍宗が死ぬような顛末だけは心配だったかもしれませんが、そこは驍宗様も好敵手として認めた禁軍将軍の腕を信じるしかない。
これは無念に打ちひしがれる驍宗と泰麒に対する介錯です。しかし同じ状況にあって李斎や項梁が泰麒に手をかけられたかといえば怪しい。
その点、耶利ら黄朱の民がいかに麒麟や王に対しての尊崇を持ち合わせていないと伺い知れます。
完全に余談ですけど、王はどうでもいいが驍宗は尊敬する琅燦 / 麒麟はどうでもいいが蒿里は尊敬する耶利が対になる相似的な組み合わせって、双方で主従は似るものかと思えてとてもエモーショナル。
それと別に計都と似ているのが英章なのもとてもハートウォーミング。
どちらかといえばエゴ優先
琅燦が謀反に加担することが多少なりとも驍宗のためになるとはいえ、擁護できない面も多々あります。
特に黄昏の岸 暁の天で李斎が出した「 阿選、謀反 」の報せを阿選に密告した点では全く擁護できません。
琅燦が真に驍宗を想うなら、この時点で驍宗麾下と協力して阿選を倒すことで引き返すことはできたはずです。謀反の露見を知らんぷりするだけでも驍宗に利することはできました。
「 驍宗様は尊敬しているが、興味には勝てない 」はやはり本音だったのでしょう。阿選ほどの実力を持った謀反人が今後現れるとは限りません。より如実な天意の表れを見るために、まだ阿選の謀反が潰えてもらうわけにはいかなかった。
そのために多くの人々が犠牲になることは明白でした。とはいえ、琅燦自身も自分がこうすることで驍宗が危険な目にあい、多くの麾下らが死んで驍宗が悲しむこともわかっていたはずです。
しかし、他者を犠牲にしてでも生き残るべき優先順位を持つ黄朱の民である琅燦としては、驍宗麾下が犠牲になることはぶっちゃけどうでもいいぐらいにしか思っていなかったのではないでしょうか。
そうすることで驍宗に嫌われそうなこと、恐らくもう驍宗麾下には戻れないことは理解したうえで、「 私が唆すに決まってる状況を作った阿選が悪い 」ぐらいの考えかもしれません。
それで白銀の墟 玄の月作中では阿選に冷たく当たり散らかしていたのではないでしょうか。阿選からすればただの八つ当たりでたまったものではないですが。
霜元が裏切らないから
残念ながら驍宗麾下の裏切り者がほかにいない以上、消去法で「 阿選、謀反 」の密告者=琅燦ってことに。
実のところ阿選を唆し鳩妖魔の次蟾を提供したところまでは、琅燦は驍宗麾下らに対して言い訳のしようがあります。
謀反を起こすにおいて偽王がもっとも警戒しなければならないのが偽王への自浄作用となる各州州侯です。本物の麒麟を背後に侍らせても王宮に入れなかった慶の偽王 舒栄の例からも、泰麒を捕えても州侯らが納得しない可能性も考えられます(一応、舒栄の乱は阿選の謀反よりあとだけど)。
その点、次蟾で州侯を黙らせる案は完璧なプラン。
琅燦としては驍宗を殺さない方向で謀反を起こしてもらう必要があったので、阿選に次蟾を見せて納得させたのだと言い訳がたちます。
例え次蟾が阿選の手に渡っていても、驍宗が落盤で拘束された時点で文州にいる英章らに居場所を伝えて救出してもらえば問題なかった。
しかし「 阿選、謀反 」を密告した時点で、琅燦はもはや擁護できないレベルで謀反に協力したことに。
その点、密告した裏切り者が霜元だとした琅燦の評価はかなり変わるんですよね。本当に密告してないのかなぁ、霜元(チラッチラッ
想定通りに運ばなかったことこそ天の配剤?
結局、想定外の鳴蝕と烏衡の雑な仕事によって泰麒も驍宗も幽閉できず。
阿選にとっても痛手でしたが、全く手出しできなくなった点では驍宗を敬う琅燦としても胃が痛かったのではないでしょうか。
しかし、天意を試したい琅燦のエゴ的観点からはテンション爆上げ、内心ガッツポーズな展開だったはずです。
白雉が落ちていないので驍宗の生存はわかる。しかし阿選が完全に戴を支配しつつあるこの絶望的な状況で、とても無事とは思えない驍宗と泰麒がどのように阿選に抗うのか。
図南の翼で犬狼真君が言った「 怪我人がいる、わたしはいない、だから妖魔はこない 」の理屈でいけば、驍宗や泰麒がここからひっくり返すためにはそれこそ天意としかいえない奇蹟が起こるものと期待したはずです。
驍宗が死なない確信もあったのではないか
琅燦と比べるととても知識人とは思えない頑丘(図南の翼)ですら、犬狼真君に出会った際には天意についてはある程度意を得ていたようでした。やはり昇山に付き添ったり天の埒外にある妖魔と日々を過ごす黄朱の民は、天意や天の加護について明るいのでしょう。
その点、琅燦は天意を試したいと言いつつも、驍宗が天の加護によって死なないとある程度確信があったと考えます。
琅燦が阿選を唆して命はとらないよう手を尽くしたのもありますし、正当な王である驍宗を天が見放す道理もない。ましては琅燦からみれば尊敬する驍宗のこと、天に見放される程度の人物とは考えない。
ある意味「 天の加護があるなら驍宗が死ぬわけがない 」→「 だからなにしてもいい 」なんて、とんでもない信頼(と思い込み)のうえに立って琅燦の計画がスタートしたとも考えられます。完全にサイコパスっぽいけれど。
むしろ天の加護が積極的に働いて驍宗の命を守ろうとするはずです。実際、天の配剤としか考えられない僥倖によって驍宗は騶虞を下し、崩落現場からの脱出に成功しています。残念ながら琅燦がそのいきさつを知ることはできませんが。
(その点、土肥の報復に震える里を見捨てたあとの馬州では天の加護が翳ったか、かなり危なかったように思えるけど)
琅燦が泰麒の味方につきはじめた理由
「 阿選、謀反 」の報せを阿選に密告する、妖魔を提供するなど、心情はともかく状況的には完全に阿選の味方をしてきた琅燦。
しかし白銀の墟 玄の月作中では琅燦は帰還した泰麒の味方として振る舞いました。阿選に天意があるとの泰麒の欺瞞を援護したり、次蟾を駆除できる耶利を大僕として送り込んだり。
この時点で、天の摂理を試したい琅燦としては天意を見るための舞台が整ったと判断したと考えていいでしょう。同時に驍宗を敬う琅燦にとっても驍宗の命そのものでもある泰麒は保護対象です。
6年前は阿選の味方をしない理由がありませんでしたが、今度は泰麒の味方をしない理由がありません。
本来、琅燦としてもここまで長期間に渡って一切の舵がきかず、膠着した状況も不本意だったと推測できます。6年間、ただ阿選が民を虐げるだけで特に面白い展開もなし。
そうでなくとも驍宗を敬う琅燦としては「 驍宗様のもの(玉座)を盗みやがって 」「 驍宗様の命を危険に晒しやがって 」「 あーっ、くそ驍宗様の民まで虐げてるし! 」といった多少ながら忸怩たる想いもあったでしょう。
それに加担していたのは間違いなく天の摂理を試したい琅燦なんですが、「 私が天の摂理を試したくなるような状況を作ったんだから阿選が悪い 」ぐらいには思っていそう。
そんな折、白圭宮に泰麒が帰って来た。きたよきたよ、これは嵐がくるよ!
琅燦、6年ぶり二度目のガッツポーズ。
しかも泰麒は(琅燦からみれば)明らかな欺瞞をぶっこんできたし、やはり麒麟とは思えないとんでもない化物です。これには琅燦もご満悦。
しかしもともと泰麒の命は狙っていなかった阿選は無害にせよ、偽朝の臣である張運や士遜のような阿呆や阿選の麾下がなにをかしでかさないとも限りません。泰麒の帰還自体が天意じみているし、いずれにせよ泰麒の命=驍宗の命なのだから、最低限でも守る必要性は感じたのでしょう。
その点、阿選を王と言い放つ泰麒の欺瞞はトリッキーながら有効な手。これを白圭宮の全員に納得してもらえれば問題なし。さすがに誓約しろとか叩頭しろと無理は言えないから、阿選には腕を斬らせた。
多分、叩頭しろと言われても「 驍宗が禅譲しないと無理 」と逃れただけでしょうけど、それでは張運らが納得しないリスクが残る。琅燦のファインプレーです。さすが驍宗麾下の幕僚は黄朱の民は頭の回転の速さが違う。
また、次蟾対策としていち早く気づき駆除できる耶利を大僕として遣わしたことにも得心がいきます。
最後に計都を送り出した琅燦の心境
登場人物だけでなく戴すべての人々にとって運命の日だった、驍宗が鴻基でさらし者にされるあの日。
琅燦にとっても、真の意味で天の摂理を目の当たりにできる運命の日でした。驍宗側にとってはかなり絶望的な状況ですが、絶望的であればあるほど天の加護は奇跡的な形でやってくるはず。
琅燦がエゴ的であればあるほど手出しなどしようはずもありませんし、琅燦に驍宗を敬う気持ちがあってもいまさらできることもほとんどなかったでしょう。もしかしたらその精一杯が、いつでも計都を出せるよう鞍をつけた用意しておくぐらいだったのではないでしょうか。
さて、いざ当日を迎えてみれば麒麟は自ら兵を斬るわいまさら転変してみせるわ驍宗載せて逃げるわ。
心ある戴の民にとってはこれ以上はない奇跡で、琅燦にとってはこれ以上ない天意の表れです。
驍宗も無事助かりそうだし、さすがの琅燦も満足したのではないでしょうか。ここで三度目のガッツポーズ。
ならもう大っ嫌いな阿選のもとで謀反のアドバイザーごっこをする必要はない。しかし戴にとって琅燦が大罪人であることには違いありません。だから驍宗陣営に戻れるはずもなく、クールに去るぜ。
最後に計都を連れ出しのが乗って逃げるためなのか驍宗の元に返すためかは不明です。ただ、いくら長いこと一緒にいたとはいえ計都が驍宗以外を乗せるとも考えにくいので、やはりいざというときに驍宗のもとへ飛ばせるよう準備だけしておいたのでは、と考えます。
琅燦が逃げたいだけならほかの気難しい計都ではなくほかの騎獣でもいいわけですし。黄朱なんだし三公なんだしその気になれば自分用の騶虞ぐらい手に入れられるでしょうし。
そうして混乱のさなか、準備しておいた計都を連れ出してみれば。
ふらふらと落ちる黒麒の影。
ああ、と天意を得る。琅燦は手綱を離す。
あとは描かれた通りです。
まとめ:琅燦は白銀の墟 玄の月でなにがしたかったのか考察
- 王・国・麒麟へのモラルがない黄朱の民 琅燦にとって、戴に恩義があるのは驍宗のみ。
- 琅燦が阿選に提案した天意の履行を凍結する謀反は驍宗の死を防ぐ策にもなった。
- 同時に、琅燦は自身の天意を試したいという自身をエゴを叶える手段にもなる謀反にためらう理由がなかった。
琅燦の思惑ついて想像たくましくできるのもここまで。なにとぞ抜群に面白いとまでは言わずとも、ほんの少しでも面白いと琅燦に笑ってもらえれば幸いです。
しかしこうして考察してみるとよくよく自分に正直でエゴの強い女性。黄朱だからなのか本人の性格か、奔放にもほどがありますね。
にしても、玄管のことも含めていまいち曖昧なままな気がするし、2020年発売の短編集では別視点から白圭宮内部や琅燦のことを描いた話とかあったらいいなぁ。
発売当時は読み進めたさとあまりにアレな阿選の心情がめんどくさくて考察を後回しにしていましたが、ようやく阿選のことも冷静に読み返す余裕ができました。阿選の動機についての考察をまとめたので、お時間あれば併せてご覧ください。
オマケ追記:何度やり直しても阿選の簒奪を止められない人説
実は琅燦は「 何度やり直しても阿選の簒奪を止められない状態に陥った人 」説を思い至りました。根拠はありません。
最近の流行りも取り入れてくるなんてさすが小野先生!(いやごめんなさい)
令和元年が二年になってもまだ十二国記熱が冷めやらぬヒマ人の妄想追記です(ただいま2020年1月10日)。
琅燦、答えは巧の鹿北にありますぞ。
ディスカッション
コメント一覧
狼燦の関与について好意的に考えるならば、民への被害を抑制するように動いていたとも考えられます。州城に次蟾を送り込むのは阿選単独では無理でしょう。狼燦が行ったとしか考えられません。州候が病むことにより乱を避けることができたのではないでしょうか。州候の半数が立ったとしても戦乱により国が疲弊するだけです。阿選を排除することは無理だと思います。州候が病むことにより英章らが潜伏できたことと考え合わせると深慮遠謀と捉えることもできます。
>清秀
コメントありがとうございます!
確かに州侯が病んでくれれば、それだけ事態の膠着は楽ですよね。
琅燦としても驍宗が大事にしている民を無駄に失いたくはないでしょうし。
阿選があそこまで苛烈に民を苦しめたこと自体は琅燦にとっても想定外だったと思うんですよね。
その原因となったのは烏衡がやらかして驍宗が阿選のコントロール下になかったことでさらにコンプレックスをこじらせたことっぽいので、やはりそこまで琅燦が責を負うのはちょっとって思いはあります。といっても謀反をほう助したことは間違いないので、戴国としては琅燦は許されるものではないのでしょうけども。
もしこの考察が当たっているのだとしたら、どういう体にせよ驍宗は琅燦を見逃してやってほしいところです。最後に琅燦が見えたときになにも言わなかった辺り、もとよりそのつもりに見えますけれど。
ところで清秀、ひょっとして頭は痛くないか? 堯天行くか?
耶利の主が琅燦というのは、疑問の余地があると考えています。最後の方で泰麒が耶利に確認した際も、肯定も否定もしていません。玄管の正体と合わせて、2020年発売の短編集で明らかになることを期待しています。
私もその意見に一票です!! 根拠は、耶利に泰麒のもとに行くよう命じるときの言葉遣いが丁寧すぎるから。 泰麒に対して尊敬語を使っているのですが、もし琅燦と耶利の会話なら、どちらも泰麒には対等な言葉遣いになる気がするので・・・ 小野主上はいつも腹八分目のご馳走を与えてくれる感じです^^; あと一歩満腹にさせてくれない飢餓感が魅力でもあるのですが、たった一か月が長すぎたのに、短編集に答えがあるかすらわからない状態での待ち時間が苦しすぎる!
>耶利に泰麒のもとに行くよう命じるときの言葉遣いが丁寧すぎるから。
細かいところまでよく見てらっしゃる~!
そこは気にしたことなかった……
帰ったら2巻(でしたよね?)読み返してみます。ありがとうございます。
>小野主上はいつも腹八分目のご馳走を与えてくれる感じ
なんでもかんでも直接的に描く作品も増えてるなか、この感じは本当にいいですね。
読み返したりあれこれ考えたり語らう楽しみがあります。
短編待ち遠しいですね!
ただひとつ、期待される登場人物が琅燦だけじゃなくてほかにも多すぎることが問題ですね。
私自身は耶利の主公=琅燦と素直に考えているんですよね。
否定しなかったのは単に内緒にしないといけない耶利の事情であって、もし違うなら違うと言えばいいだけのはずなので。
ただ、玄管=耶利の主公だと思うけれど、玄管=琅燦かというとちょっと違和感があるので、その辺はいま読み返しています。スルーしちゃったけど、どこか「あれ?」って思った部分があったように思うので。
スポーツには全くといっていいほど興味がないなかでの2020年、オリンピックではない琅燦という楽しみができてうれしい限りです。
はじめまして。クマさんの正頼黒幕説が(そうだったらメチャクチャ心が荒むぜ…という意味で)凄く好きで、正頼が出てくるたびにクマさんのお尻の事を考える白銀〜でした笑。
琅燦が驍宗の死を回避するために敢えて阿選に入れ知恵して謀反をコントロールしたという考察、非常に唸りました。忠義とかけ離れた行動なのに、でも頑なに「驍宗様」呼びなのがずっと不可解だったのです。死なせないために裏切った…頭の回転の早い彼女らしい理由になるほど!と膝を打ちました。
人様のブログで不躾にすみません、琅燦の考察に乗っからせてください!
琅燦の「天意を試したい」について、《①天がどの程度教条的なのか、天の人格を試す》《②天システムに拠らない治世の実験》のような意図もあったのではないかと思いました。
①は、人道的な意思で他国へ派兵した王に対して実に教条的な判決(覿面の罪)を下した天が、自らの意思ではなく玉座を離れざるを得なくなった王(と、荒れる国政)に対してどのような決定を下すのかを知りたかった。こちらはおそらく失道には至らないとほぼ確信してて、答え合せ的な感覚(でやったと思いたい、主公の命掛かってるし…)。
②は、冬官は易姓革命による朝の再編に無縁な役職である、民のために何もしてなさそうなのに冬官はちゃっかり保護してた、また瑞雲観(丹薬の担い手)を救おうと珍しく自ら動いた(玄管が彼女ならば)っぽい描写、あと冬官の誰とでも話が通じるほどの知識魔なあたり、そして(民を救うために実務しに来た)台補と自分の意思は同じ…などから、天システムで避けられない荒廃から来る知識技術の散逸を嫌ってて、「僕の考える絶対に王が変わらない方法」を実践してみたかったのではないかな?なんて思いました。彼女がどこの里木から生まれていたとしても、黄朱ということは、彼女本人かその父母祖父母、あるいは近しい人間など、そのルーツに天システムによる王交代前後の荒廃が負の記憶として存在するんではないかと思うんです。天意に明るい琅燦ならば、王という一人の人間の人間性に頼る危うさと空位による沈没を避けられない天システムへの叛意があったのではないかなぁと。
(結果論ですが驍宗は祈節の祭祀を続けていたわけで、天意を凍結させたまま偽朝がマトモな仕事をしていれば戴の6年は割と平和にいったんじゃないかと…荒れてるのほぼ誅伐が原因?)
阿選が人財を荒らすし、実験結果も充分得たしもういい加減終了させたいナーと思ってたタイミングで泰麒が戻った(=天意)のではー、なんて。彼女のアシスト無しに泰麒が立ち回るのは困難でしたでしょうし。琅燦が実験終了を望んでいる、朝は張運のおかげで無能揃い、だから泰麒が来た。みたいな。
余談ですが、もし本当に天が王の存命中に天意の在り処を変えてたとしたら、一番喜んだの琅燦だろうなと思います。有史以来の大発見ですよね。案作を助手役にしてめちゃめちゃ説明する場面、泰麒を庇ってくれてるのかとも感じたのですが、凄くイキイキしてたので歴史的な天のイレギュラーに大興奮しながらのマジ考察だったんじゃないかと思ってます笑。
あと麒麟の角を切ったら使令はどうなるんだろう?てのも実験に入ってたかもですね。阿選面会時には使令が付いてると思って腕を切らせる提案をしたけれど、鳩を駆除できてない時点で本当に角がなくて使令も使えない状態と理解して耶利を遣わせたのかなと。それで最後にいつ生えたのか、今まで隠してたのかと本気でびっくりしたんかなーと読みました。
もしかして次の更新のネタとして筆をとってらっしゃるかもしれませんが、泰麒の角はいつ生えたのか、なんて考察いかがでしょうか?読みたいです…
コメント&お尻のご心配ありがとうございます!
私も「 正頼が黒幕だったら一番心が荒むよね 」っていう想いもあって書いたので半分はでっち上げみたいなものだったんですが、ある意味一番まっとうな展開なのに予想以上に痛ましい姿で再登場して絶句でした。ホントごめん正頼。
>天システムへの叛意があった
私のなかの琅燦は完全に驍宗だけ例外のサイコパスな完全にヤバい奴ってイメージ止まりだったので、黄朱で天に叛意があったからこそ天の摂理へ興味を持ったというその説にこそ膝を打ちました。たしかに、黄朱の民も天の不条理を受ける立場ですよね。
>また瑞雲観(丹薬の担い手)を救おうと珍しく自ら動いた(玄管が彼女ならば)
私のなかでも丹薬の散逸を危惧した琅燦が瑞雲観を救おうとした=玄管のはじまりってイメージだったので、同じ見方してる方いて嬉しいです。
ただ、玄管=琅燦ではないって意見の方が多くて、譚翠の行方とともに重点的に読み返し中。確かにどこかで違和感を覚えた気がするんですよね。玄管から来た情報で(直接は)琅燦が知り得ないことがあったような気がして。
余談ですけど、いずれにせよ玄管=耶利の主公はあってると思うんですよね。耶利ちゃん、初登場シーンで鳥飛ばしてるので、そこが言外の示唆かなと。
>荒れてるのほぼ誅伐が原因?
以前 白銀の墟 玄の月第一巻・第二巻で妖魔が出ないのは~ みたいな記事で書いたんですけど、私も戴が荒れてるのは誅罰が原因で天意はさほど傾いていないんだと思います。実際に国として傾く要素は少ないように思えましたし、第一巻や第二巻では妖魔が眠ったままで見つかってましたし。天が教条的ならそこまで荒れないこともあるかも、と。
(たしか三巻で)「 利用した妖魔が妖魔を呼んで一部ヤバいことになっている 」的なことが書かれていて、やはり国として荒れてるのは誅罰のせいなだけで、野生の妖魔が湧くほどは傾いてはいないのかなと。沿岸部にやたら妖魔が多いのは阿選と琅燦が利用したものが野生化しちゃってる、と。
>凄くイキイキしてたので歴史的な天のイレギュラーに大興奮しながらのマジ考察
コレは本当に大興奮してたと思います。あんな風に頭よくて謀反唆すほど行動力ある人なら、あからさまに欺瞞でもイレギュラーの可能性も考えて楽しくなってると思います。そもそもそうしたイレギュラーが見たいから行動したのもあるでしょうし。
張運をバカにしながら自分に浸っていたら、案作が意外と話せるヤツで「 おっ、いけるクチじゃんwww 」って感じで解説するあの上から目線の興奮具合、とても琅燦っぽくて面白いです(琅燦のなにを知るわけでもないけど)。
あと、さり気なくあの頃から案作を張運より上に持ってきてる小野不由美さんのキャラ設定の一貫具合はスゴイなってすごく感心しました。
>泰麒の角はいつ生えたのか、なんて考察
すみません、これに関しては考察するには全く材料がないというか、本気でただの空想なので人様に披露する気がなかったです。
こう思ってます~って程度の話しですけど、穢瘁は直してもらったはずなのに白圭宮に戻ってからはずっと具合悪そうだったので、徐々に徐々に角が治り始めていていったんだろうな、と。次王が阿選とかウソついてたのが問題で具合悪かったのが、士遜に恫喝かけて倒れかけたときにハッキリNGだと知ったのかなって。
その辺で気になっているのは泰麒が転変できることを切り札的に隠していたのかなってところですね。
実際にはこの時点で角は治ってきてはいたけど転変まではできなくて、できるとも思っていなかったように思います。できるとわかっていれば耶利にひとこと言っていたでしょうし、わざわざ人を手にかけてまで走り出すより麒麟の姿で全力疾走した方が速いですし。
その点、驍宗と会って言葉をかわして、どうしても諦めきれなくなって転変できたのかなって解釈しています。
特に根拠はないのでそこに天意が絡んだかどうかまでは考えてないんですけど、単純に風の海 迷宮の岸で驍宗を追ったときと同じような、蒿里としても意識していない無我夢中での出来事と思いたいので。
琅燦の心情の推移、細かく考察と解説してくださって、どうもありがとうございました。
琅燦の台詞とキャラクターを鑑みて一応理解できたものの、ちょっとよくわからないなぁと思っていたところもあったので、そっかぁなるほどと納得できました。
李斎の「阿選、謀反」の知らせを誰が密告したかが消去法で琅燦だというのは、目から鱗でした。知らせを受け取った相手の霜元からは、驍宗麾下の各面々に伝えられたと思われるので、明らかに阿選に通じてた琅燦が密告したと考えるのが自然かもしれませんね。。
…と納得した後もう一度気になるところを読んだりしていると、耶利の主公=玄管=琅燦という図式にちょっと違和感を持ちました。
琅燦の阿選への唆しは考察通りなのだと思いますが、本当に琅燦は耶利の主公だったのでしょうか?
耶利の主公が玄管であることは間違いないと思うのです。耶利の初登場シーンは青鳥を放つところだったので、おそらくそれが玄管から沐雨への知らせだったのでしょうし、沐雨を選んだのは朱旌ネットワークからの人選だったのだろうなぁと。
なので、玄管も黄朱の民のはずなので、最有力は琅燦ですよね。
ただ、耶利に話す口調が違いすぎるのが引っかかるんです。阿選や他の官吏には奔放な喋り方をするのに、どうして部下の耶利にはあんな改まった言い方するのか。逆ならわかりますけど。
それから耶利が黄朱は琅燦だけではないみたいなこともいってましたよね…最初に驍宗にスカウトされたのは琅燦だったと言ってたので、きっと黄海に行って妖魔を捕まえてたときですよね。何年くらい前なんでしょう…驕王末期だったら、30年くらい前でしょうか?
それをきっかけに黄朱の民が何人か、戴の王宮に入ってるということですよね。琅燦を含めて、その中の誰かが耶利がいう「さる御方」。
「さる御方」が琅燦でもいいのですが、ちょっとあれ?と思ったのは、友尚軍壊滅の知らせが阿選王朝に入った後、玄管のモノローグに「李斎に生き延びてもらわなければ。」とあることです。琅燦がどうしても李斎に生き延びてもらわないといけない理由がわからないんです。驍宗や泰麒を助ける臣下として生き延びてもらわないといけないのだったら、わざわざ李斎の名前を出す必要があるのかなぁと思って。。しかも最初に李斎を窮地に追いやったのが琅燦なのだったら、尚更です。
琅燦が「台輔と目指すところは同じ」という意見にもちょっと附に落ちないというか…正確には目指すところは同じではないと思うんですけどね。琅燦は戴の民自体に思い入れはなさそうなので。
友尚軍壊滅の知らせが届いたときの会議に出席していたのは六官長、今までほほ発言してない案作と叔容以外の誰かか、六官長の側近でその場に同席できた人か…可能性としてはそのくらいですが、琅燦じゃなかったら、きっと存在が読者に知られていない立場の人となるので、探り当てるのは無理ですね。。
弾劾が始まる直前での玄管の位置と琅燦の位置の描写が同じかどうか、何回読んでもわからないんです。。腹ぺこクマさんや他の皆さんは、どう感じられましたか?
穿ちすぎかもなんですけどね(笑)
泰麒の言うとおり、素直に受け取って琅燦だと思ったらいいじゃないって心の声もあります。
耶利の主公=玄管=琅燦の図式、違和感覚えてらっしゃる方多いですよね。
私は完全にそうだと思い込んで読んでしまったのでそこに違和感を感じず、いままたそこに注目しながら読み直してるところです。
瑞雲観の弾劾をきっかけに玄管が動き出したことに関しては、「 琅燦は知識や技術の散逸を嫌って冬官府は積極的に保護している 」って話しの流れで、瑞雲観が誅伐を受けると丹薬の製造方法が散逸するから、保護するためにスタートさせたのではないかと考えていました。
たまたま朱旌として名を知っていた沐雨に青鳥を飛ばしたのかなって思ったので、その点では琅燦で特に不思議を感じず。
>琅燦が「台輔と目指すところは同じ」という意見にもちょっと附に落ちないというか
ここに関しては最終的に驍宗が戻ってくるところを言っているのかなと。
ただ、思い返せばたしかに問題の耶利の主公=琅燦 と 玄管=琅燦の図式はたしかに誰か別の人でも不思議はないですね。
耶利の主公=玄管は挿絵で耶利が青鳥を飛ばしているのでそうなんだろうなとは思うんですが。臥信も含めて黄朱、朱旌とつながりのある人が多いので、玄管はほかにいて突然短編に出てきそうな気はします。
>玄管のモノローグに「李斎に生き延びてもらわなければ。」とあることです
ここの部分なんか私の頭のなかで完全に抜け落ちてました。単に驍宗や泰麒の命を守るため行動してくれる人だから、って意味と捉えられなくもないけど、うーん。一旦保留。
>最初に驍宗にスカウトされたのは琅燦だったと言ってたので、きっと黄海に行って妖魔を捕まえてたときですよね。何年くらい前なんでしょう…驕王末期だったら、30年くらい前でしょうか?
いま本が手元になくて定かではないのですが、たしか項梁が自分より前からいると言ってたと思うので、少なくとも轍囲の乱よりも前なんじゃないかと。たしか誰よりも長いぐらいのことは言ってたような気もするけどこれは本当に定かじゃない。
ラストで気難しいはずの計都に鞍をつけて連れ出すぐらいのことはできていたので、相当長いことだけは間違いないだろうと思います。
正直なところ琅燦=玄管=耶利の主公とは思いながらも、特に琅燦=玄管のところが微妙に自信がなくて記事には特に書いてなかったんですよね。
潭翠には悪いけど、やっぱり琅燦の方が断然気になるので、しばらくはそっちメインで読み返す日々が続きそうです。
腹ぺこクマさんの琅燦の考察、大筋その通りだと思うんです。なので、全然否定するつもりじゃないんですよ〜。
玄管が琅燦だとすると私の中ではちょっと違和感がある気がするというだけで、所詮は印象の問題というか…確かに琅燦が玄管の場合でも、この行動はこういう理由でって全部説明ついちゃうんですよね。
そんなふうにも読めなくもないなってぐらいに受け取ってもらえれば。
「李斎には」云々のところは私も見逃していて、読み返してときに、あれ?こんなところあったっけ?って思ってみると玄管が琅燦以外の可能性もあるように思えてきたんですけど、じゃあ違う人だからって李斎だけが特別視される理由もわからないし。。見つけたそのときは、泰麒にとって李斎は臣下の中でも特別だから、泰麒の為にも生き残ってほしいって思ったのかな、と考えました。
それだったら琅燦よりは泰麒のことを案じている人という印象で、耶利に泰麒のところに行かそうとした耶利の主公もまた、戴の国民を救いたい、台輔と願うことは同じ、と言っていたので。。琅燦は泰麒のことをどっちかというと、驍宗にはいずれ王として戻ってほしいから、泰麒には生きててもらわないと(あと観察対象として興味深いのと)っていう、冷静に捉えてるように思えて。
でももしかしたら、妙な言い方ですけど、泰麒を麒麟としても一目置いてて、尊敬ではないにしても大切に思っていたのかもしれないですね。
小さい可能性として玄管琅燦じゃない説を考えてみるなら、名前も出てきてないけど冬官長かもしれないなぁと思っています。冬官府だけは絶対阿選にも張運にも手出しさせない人選を琅燦は用意したはずなので、黄朱の民出身の官吏もいたんじゃないかなぁと思って。
黄朱の民は義理堅いってどこかに書いてあったような…きっと玄管も耶利も琅燦の考えや行動には一定の理解はしてて、だから耶利は項梁に聞かれても、いつも深くは答えないのかなぁ、なんて思っています。
でも、これで完結するお話に謎を残したまま終わるっておかしいですよね。空想の余地ならあるでしょうけど…。
そう考えると、玄管はやっぱり琅燦かもしれないですね。
>全然否定するつもりじゃないんですよ〜。
大丈夫です、大丈夫です、全然否定された気分にはなっていないです。
いままで十二国記で語りあえる仲間がいなかったので、いろいろな意見や考察が聞けてとても嬉しいです。
私一人じゃ全然気づけないようなところも皆さんのコメントでなるほどー!!ってなったところめちゃくちゃありますし。
たしかに琅燦=玄管=耶利の主公だとすると、それぞれの泰麒への態度というか想いが微妙にズレてる感じはします。
>泰麒を麒麟としても一目置いてて、尊敬ではないにしても大切に思っていたのかもしれない
これはあるかもしれないですね。黒麒とか饕餮を折伏するようなスゴイ麒麟だから貴重ってマッドサイエンティスト的な想いとは別に、驍宗や李斎とともにいる蒿里の幸せそうな姿が好きだった、とかもあり得るのかなって。
琅燦はそういうのがなさそうだからこそ、そういう人間っぽい理由だったらぐっときますね。
>これで完結するお話に謎を残したまま終わるっておかしい
確かにこのまま終わるにはスッキリしない部分ではあるんですよね。
その辺、短編集で「 実は玄菅は~ 」とか「 耶利の主公は~ 」って白銀の墟 玄の月では登場してなかった人物とか出てきたらそれはそれで「うひょ~!」ってなります。
そのときはぜひ、私と一緒にうひょってください。
はい!ご一緒にうひょります!
短編集も今から楽しみですよねー。2020年のいつ発売されるのでしょう…。
禁断症状を埋めるべく、いろいろ違う作品を読み返してしまいますね。
玄管の謎も答えが出でほしいところではありますが、静之が生きててくれたらなぁ。。と切に願っています。
それから潭翠…本当にどこ行ったんでしょうね?
初めまして。
最新刊まで一気に読み終えて感想を共有したく、こちらに辿り着きました。
私は琅燦の目的について考察するのに、柳の王が気になっています。
登場人物のまとめでも触れられていますが、王が突然治世にやる気をなくしているらしいところが、戴に似ています。
さらに、「帰山」にて巧や柳で妖魔がわくのが早すぎる、正統な王がいることになっている戴でも妖魔が多すぎる。妖魔に何か起こっているのでなければいいがと奏の王たちが会話するシーンがありました。
今作で黄朱の民がある程度妖魔を操れることが明らかになったので、これらは全て天に反逆したい黄朱が裏でなにがしかの糸を引いているのではないでしょうか。
つまり琅燦は、黄朱として国を荒らす必要があった。
(天がどのように動くか、実験的な意味もあったのかもしれません)
しかし琅燦自身は驍宗を慕っていたため、あのような形になったのでは。
琅燦=玄管=耶利の主公は私も疑いなく読んでいたのですが、どちらにしても次回の長編は天vs人間になるにではないかと、突飛な想像かもしれませんが続編を楽しみに待ちたいと思います。
泰麒の角がいつ治ったかというお話ですが、私は2巻9章159〜160で膝をついた時だと思っています。完全に治ったというよりは、あの時に王気を感じ取れるほどに治った、と。
本編ではその後、泰麒が北に向かって毎朝祈るようになっています。その理由については3巻冒頭にて、泰王に向かって祈っていると語っていますが、この時点ではまだ王の所在が文州とは確定していません。王も、探しに向かった李斎達も、既に他の州に移動しているかもしれません。にも関わらず、です。この時点で、王気は北、文州の方角にあると感じ取れるようになっていたのではないでしょうか。
本編を読み返して確認したわけではありませんが、この頃から側近達の症状(ジセンに傀儡にされる)が泰麒の側ではなくなっていたように感じています。
そしていつ転変できるまで回復したか、ですが、角は徐々に癒えていたのでしょうが、私は角が完全に治っていたとしても泰麒は自分の意思で転変出来ないのではないかと考えています。というのも、泰麒が転変したのは王を選んだ時の一度きりで、その時もやり方がわからないと言っていたからです。その後も蝕で蓬莱へ流されるなど転変を習得できる環境下にはなかった、と。
ですから泰麒は王を救いたくても、民衆の前で転変して間違いなく麒麟の意思である、と示す選択肢を持っていなかったはずです。実際、共に身罷るしか方法はないと考えていたようでした。土壇場で転変し獣体へと変じられたのは偶然…それこそ天意だったのかもしれません。
読後もまだはっきりしない部分はありますが、王が戻って戴がこれからどうなっていくのか、次の物語が楽しみですね。
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